競売になるマンションとは
まずは、どのようなマンションが「競売になるマンション」なのかを理解しましょう。
マンションにおける競売とは、債務者が数ヵ月にわたり住宅ローンの支払いを滞納したときに、金融機関が担保としていたマンションを裁判所の権力により強制的に売却することです。
金融機関は住宅ローンを組む際に、対象のマンションに抵当権を設定します。抵当権を設定することにより、対象のマンションを担保とすることができます。
住宅ローンの返済が滞ると、金融機関から裁判所に対して申し立てが行われます。申し立てが正当だと認められると、裁判所の権力(職権)で強制的にマンションを売却する競売が開始されます。売却益は債務の返済に充てられます。
競売の流れについて詳しく知りたい方には以下の記事もオススメです。
任意売却と競売の違い
マンションを売却する立場の売り主からも、新しくマンションを購入する買い主からも、任意売却と競売には大きな違いがあります。
任意売却とは、売却しても住宅ローンが残ってしまうマンションを、金融機関の同意を得たうえで売却する制度です。
売り主からすると、金融機関とのやりとりが発生したり、特定の不動産会社で売却活動をしたりと、通常の売却活動と少し違う工程が必要になります。
買い主にとっては、マンションの情報量が多く、内見も可能であり、通常売却されているマンションと変わらない方法で購入が可能です。
競売の場合は、売り主の意志とは関係なく入札が開始され、売却が決定します。
売り主は自ら申告したり、不動産会社や買い手とやりとりしたりしないため、任意売却のような積極的な売却活動を行う必要はありません。
買い手からすると、マンションの情報量は少なく、内見もできないため、不安要素の多いマンションとなります。
調査員により収集された少ない情報と写真で判断しなければならず、購入にはリスクがあるといえるでしょう。リスクがある分、多くの競売物件は、通常の物件よりも3~5割ほど安く購入できます。
任意売却についてはこちらの記事で詳しく解説しているのでご覧ください。
競売で不動産を購入する流れ
競売で不動産を購入する際の流れを7つのステップに沿ってお伝えします。
1. 予算を決めて物件を選ぶ
一般的な不動産売買とは異なり、競売にかけられた物件は不動産サイトなどでは見つけられません。競売物件は裁判所や新聞に公示されます。
競売物件は、裁判所や新聞などに公示されます。また、インターネット上で競売物件を探したいのであれば、裁判所が運営しているBIT(不動産競売情報サイト)をチェックしてみましょう。BITでは予算や地域から競売物件の検索が可能です。
BIT(不動産競売情報サイト)https://www.bit.courts.go.jp/app/top/pt001/h01
2. 入札開始日を確認する
入札したい物件が決まったら、裁判所から送付される入札開始から終了までの期間と開札日が記載された競売の期間入札通知書を受け取り、入札開始日を確認します。
入札期間は約1週間で、期日を過ぎてしまうと受付されません。
3. 買受申出(入札)をする
競売物件に入札する際には、買受けの申出をしなければなりません。買受けの申出をするためには、以下のような準備が必要です。
- 裁判所で入札セット(入札書・入札用封筒・保証金振込証明書)をもらう
- 入札書に入札価格を記入する
入札価格は、売却基準価格を2割下回る金額以上の金額である必要があります。
(例:売却基準価格が100万円の場合、入札価格は80万円以上)
4. 買受申出保証額を、金融機関にある裁判所保管金振込依頼書より裁判所口座に振り込む
5. 保証金振込証明書に保管金受入手続添付書を貼付し、割印する
6. 以下の書類を入札期間中に裁判所に提出する
- 入札書
- 入札保証金振込証明書
- 住民票
書類の提出は郵送可能ですが、入札期間中に到着できなければ無効となるため注意しましょう。
また、一度提出した書類については撤回や変更ができないため、本当に競売物件を購入しても良いか十分に検討したうえで提出するようにしてください。
4. 開札・売却許可決定が確定される
開札結果は開札期日に裁判所またはBIT(不動産競売情報サイト)にて発表されます。
入札期間中に最高額で買受申出した落札者には裁判所から売却許可が下り、異議申立てなどがなければそこからさらに1週間後に売却許可決定が確定します。
なお、落札できなかった方の保証金は後日返金されます。
5. 物件引き渡しの交渉をする
競売物件の引き渡しの交渉は、売却許可が確定した買受人が自ら物件の占有者と行わなくてはいけません。
いつ頃引き渡してもらえるのか、引き渡してもらえないのであればどのような法的処置を取るのか交渉しましょう。
6. 代金を納付する
裁判所より、売却許可決定が確定したら代金納付期限通知書が届きます。購入代金は通知書の指示に従って納め、必要書類を提出します。
代金が納付されたのちに、権利証の役割を果たす登記識別情報通知書が裁判所より送付されてきます。
なお、代金納付の期日は、売却許可決定が確定してから1ヵ月以内です。期日までに代金納付できなければ買受人としての権利を失効し、さらには保証金の返還もされません。
7. 物件の引き渡しを行う
登記識別情報通知書が手に入れられたら、占有者との交渉の通り競売物件の引き渡しを行います。
裁判所は関与しないため、自己責任となります。どうしても占有者が引き渡しに応じてくれない際には、引渡命令申立てを行い執行官の強制執行を行います。
競売になったマンションは審査が厳しい
競売になった物件は、一軒家かマンションかに関係なく、専用の住宅ローンの取り扱いをしている金融機関がほとんどです。
競売になったマンションを購入しても、住宅ローンを組んで支払いをすることはできます。しかし、一般的な売却と違う点として、購入するにあたって審査が厳しくなります。
また、競売のマンションへ入札する際には、裁判所が調査を基に算出した評価額(売却基準額)の2割以上を保証金として振り込まなければなりません。保証金の2割は、現金で用意する必要があります。
さらに、落札後に住宅ローンが借りられないとなると、保証金は没収されてしまうこともあります。
競売になっているマンションを購入する際には、入札をする前に、金融機関と住宅ローンについての相談をしっかりと済ませておくべきでしょう。
競売の流れはこちらの記事をご覧ください。
競売のマンションを購入するメリット・デメリット
競売は、住宅ローンの支払いができなくなってしまった人のマンションが、オークションのような形式で入札できるものです。
わざわざ厳しい審査や保証金を用意してまで、競売になっているマンションを購入するメリットはあるのでしょうか。
また、競売のデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
競売のマンションを購入するメリット
競売のマンションを購入するメリットは大きく分けて3つあります。
- 購入価格が安い
- さまざまな物件がある
- 手続きの負担が少ない
それぞれ簡単に解説します。
購入価格が安い
競売になっているマンションを購入する最大のメリットは、購入価格が安いことです。競売物件には、さまざまなリスクがあります。
購入時の情報量の少なさもあり、多くの場合、一般的な不動産市場の3~5割の価格で購入できます。通常であれば手が出せないような間取りの物件でも、手に入れられる可能性が上がるのです。
ただし、人気エリアのマンションの場合には、一般的な不動産市場と変わらない価格で入札されている場合もあります。
さまざまな物件がある
競売になっているマンションには、さまざまな物件が存在します。だからこそ、競売物件を買取り、リフォームをして再販売する業者のような人もいます。
手続きの負担が少ない
一般的な不動産購入の場合、所有権の移転登記や抵当権の抹消登記などの手続きなどは、専門的な知識や経験のある司法書士に依頼したり、難しい手続きを自力で対応したりする必要があります。
その一方で競売で不動産を購入する場合、煩雑な手続きはすべて裁判所で行ってもらえます。
購入者が行わなくてはいけない手続きは以下の4つのみです。
・入札用紙の提出
・暴力団員に該当しない旨の書類の提出
・保証金の納付
・購入金額の納付
競売のマンションのデメリット
競売になっているマンションは安くて魅力的かもしれませんが、もちろんデメリットもあります。主なデメリットは以下の4点です。
- 事前の確認ができない
- トラブルの責任を取ってもらえない
- 残置物の処分が必要なことも
- 物件の引き渡しは自己責任で行わなくてはいけない
それぞれ簡単に解説します。
事前の確認ができない
競売では、任意売却や通常の売却と違い、マンションの所有者の関与がありません。空き家であることがまずなく、内見をすることができません。
マンションについての確認は、裁判所の現状調査によって情報収集された物件明細書、現状調査報告書、評価書の3つの書類のみで可能です。
もちろん、書類に添付されたマンション内の写真を確認することはできます。
しかし、実際に足を運んで確認することはできないため、細部の手間のかけられ方や陽の当たり方など、細かい部分まで事前に確認したい方には厳しい条件であるといえるでしょう。
トラブルの責任を取ってもらえない
購入したマンションの調査不備によるトラブルは、責任をとってもらえません。
通常、中古物件を購入すると、宅地建物取引主任者が重要事項を説明してくれます。しかし、競売の場合には説明がありません。
また、調査不備によって設備不備や物件の問題、近隣トラブルがあったとしても、不動産会社や売り主が責任を取ることはまずありません。
買い主(落札者)が、自ら解決する必要があります。
残置物の処分が必要なことも
競売になっているマンションの中には、前の所有者が物を置いていってしまうケースもよくあります。残置物は、購入者が自ら処分することとなり、無駄な費用が発生することもあります。
物件の引き渡しは自己責任で行わなくてはいけない
競売手続において、所有権移転登記は裁判所の権限で行ってもらえます。
しかし、物件の引き渡しに裁判所が介入しないのはもちろん、一般的な不動産売買のように不動産会社が仲介することもありません。
そのため、物件の引き渡しは購入者自身で元の所有者と交渉する必要があります。元の所有者が住んでいたり、占有者がいたりする場合には、購入者が自己責任で出てもらうための手続きをしなくてはいけません。
さらに不動産内に家財が残っている場合、購入した不動産とはいえ無許可に処分することはできないため、それに関しても元の所有者とやりとりが必要になります。
マンションを素早く売却し競売を避ける方法
本記事では、競売になるマンションがどのような物件なのか、購入者にとってのメリットやデメリットにはどのようなことがあるのかについて解説していきました。
競売になったマンションは、安いという魅力はあるものの、リスクが多いのも事実です。
売り手からしても、高く買ったマンションを安く売られてしまっては、住宅ローンの返済にあてられる額が減ってしまいます。なるべく高く売却できる任意売却に持っていけるよう、早めに動きたいものです。
任意売却をするためには、競売になってしまう前に素早く活動を開始し、売却に至る必要があります。スピードが重要な任意売却におすすめなのが、最短2日での売却が可能な「すむたす売却」です。
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