リースバックとは、自宅として使っている物件を不動産会社に売った後、賃貸契約を結ぶ、不動産売却のひとつのスタイルです。売却した物件にそのまま住めるため、まとまった資金を得ながら、生活スタイルを維持できます。
「ある日突然、まとまったお金が必要になった!」
「売れるような資産は自宅しかないけど、愛着があって手放せない…」
そんな方にとって、リースバックはまさに「夢のような仕組み」です。しかし、リースバックの仕組みやデメリットを知らないと、思わぬトラブルに見舞われることも…。
本記事では、リースバックのメリットとデメリットを簡単に学んだ後、よくある”6つのトラブル事例”を紹介。リースバックが最善の選択肢なのか、失敗しないためにはどうすればいいのか、判断するためにお役立てください。
リースバックのメリット・デメリット
リースバックで起こり得るトラブルを紹介する前に、リースバックの具体的なメリット・デメリットを理解しておきましょう。
多くのトラブルは、メリットばかりに目が向き、デメリットを把握していないことにより起こります。メリットだけでなく、デメリットも真剣に読み、トラブル回避に役立ててください。
リースバックのメリット
リースバックの主なメリットには、次のようなものがあります。
- まとまった資金を得られる
- 引越し不要
- 買戻しも可能
自宅を売却した後に、賃貸契約を結ぶリースバックでは、引越しがいりません。売却によるまとまった資金を得ながら、慣れ親しんだ家での生活を手放す必要がないのです。さらに、賃貸契約の後、物件を買戻すこともできます。
リースバックなら、ある日突然まとまった資金が必要になって自宅を売ったとしても、生活が落ち着いてから資金を貯めて、売った自宅を取り戻せるのです。
リースバックのデメリット
売却によるまとまった資金を得ながら、慣れ親しんだ家での生活を続けられるリースバックは、夢のような仕組みに感じるかもしれません。しかし、リースバックにはデメリットもあります。
- 売却価格は低め
- 家賃や買戻し費用は高め
- ずっと賃貸できるとは限らない
リースバックは通常の売却と比べて売却価格が低く、それでいて、通常の賃貸物件よりも家賃が高い傾向にあります。ずっと賃貸できない場合もあり、賃貸できなくなれば、買戻しもできなくなってしまいます。
リースバックの仕組みをよく理解し、デメリットを把握しておかないと、次から紹介するようなトラブルに見舞われる可能性も高くなるでしょう。
リースバックの仕組みや、それぞれのメリット・デメリットをもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事をお読みください。リースバックの基本について、詳しくお伝えしていています。
リースバック契約の確認不足によるトラブル
リースバックのトラブルの多くは、契約内容の確認不足によって起こります。まずは、よく確認せずに契約したがために起こる、2つのトラブル事例を紹介します。
賃貸契約を更新できない
リースバックのよくあるトラブル事例の1つ目は「賃貸契約を更新できない」トラブルです。
同じリースバックでも、契約内容はさまざま。中には賃貸契約の更新ができないものもあります。契約内容をよく確認しないと、思わぬタイミングで引越しを迫られるかもしれません。
また、リースバックの家賃は、通常の賃貸契約よりも高めな傾向にあります。お金に関する何らかのトラブルのために、リースバックを検討しているという方もいるでしょう。ただでさえお金に関する悩みがあるのに、通常よりも高い家賃を、はたして払い続けられるでしょうか。
売却による資金をあてにせず、よく考えてください。家賃の度重なる滞納は、賃貸契約の強制解除だけでなく、契約更新を断られることにもつながります。
買戻しができない
リースバックのよくあるトラブル事例の2つ目は「買戻しができない」トラブルです。
リースバックの買戻し金額は、基本的に割高です。契約内容や買戻しの時期によるものの、およそ売却価格の130%程度の資金が、買戻しに必要となります。
ただでさえ買戻し費用が高いのに、リースバックでは家賃まで割高です。高い家賃の支払いで手一杯となり、買戻し資金が貯まらず、予定通りに買戻せないというトラブルはよくあります。
リースバックのお金のトラブル
リースバックのデメリットには、「家賃や買戻し費用が高い」というものがありました。リースバック契約の”お金回り”の確認不足、甘い資金計画が、「物件を買戻せない」「家計が立ち行かない」などのトラブルを引き起こします。
リースバックのお金にまつわるトラブルを、2つ紹介します。
家賃が高くて家計を圧迫する
リースバックのよくあるトラブル事例の3つ目は「家賃が高くて家計を圧迫する」トラブルです。
リースバックの家賃は、通常の賃貸契約の家賃よりも高めに設定されています。しかし、「家賃が高い!」と気付くことなく、「まぁ、支払えるだろう」と安易にリースバック契約を結んでしまう売主は多くいます。
家賃の高さに気付けない、支払い計画が安易なものになってしまう原因は、「今までは家賃などなかったから」です。物件が持ち家であったときには、周辺の賃貸物件になど、見向きもしなかったでしょう。しかし、リースバック契約を結んでから賃貸物件にも目が向くようになり、「もっと安く良い家に住める」と後悔する人は少なくありません。
買戻しを考えているなら、買戻し資金も貯めなければならないため、家賃の重圧は相対的に大きくなります。
家賃や買戻し費用が上がった
リースバックのよくあるトラブルの4つ目は「家賃や買戻し費用が上がった」というトラブルです。
リースバック契約を結ぶ際、一体どれくらいの人たちが、家賃について抜け目なく確認できているでしょうか。
「家賃や買戻しの金額なんて、一番よく見るポイントじゃないか」と思われるかもしれませんが、ほかにも見るべきポイントはあります。
契約更新時に家賃や買戻し金額の引き上げをしないと、たしかに取り決めをしましたか?
「金額の引き上げをしない」というのは、口約束ではなく、契約書で取り決めたことですか?
リースバックに限らず、不動産のような大きな金額が動く契約については、些細なことでも契約書でしっかり取り決めましょう。契約書に書かれていないことはいくらでも反故にでき、契約書に書かれていないなら、正統な不平であっても通りません。
リースバックによる思わぬトラブル
契約内容をよく確認し、お金に関する慎重な計画を立てても、思わぬトラブルに見舞われることがあります。中には、どんなに対策しても、可能性をゼロにできないトラブルも存在します。
最後に、リースバックによる思わぬトラブルを、2つ紹介します。
相続人との揉め事が発生する
リースバックのよくあるトラブルの5つ目は「相続人ともめてしまう」というトラブルです。
持ち家を持つ多くの方には、家族がいるでしょう。結婚し、子どもができたことで、持ち家が必要になった人は多いはずです。リースバックを考えている方の中には、孫のいる方もいるでしょう。
持ち家の場合、所有者が死亡すると、(特に取り決めていなければ)子どもや孫が家を相続することになります。家族との思い出が詰まった家での生活を望む相続人もいれば、売却してお金に変え、理想の生活や夢の実現にあてる人もいるでしょう。持ち家のような資産は生命保険と同じく、親が子どもたちに遺せる、最後のラブレターのようなものです。
リースバック契約を結ぶ前に、子どもや孫と、よく話し合うことをオススメします。
賃貸中に物件が売却される
リースバックのよくあるトラブル、6つ目は「賃貸中に物件が売却される」トラブルです。
リースバックによる賃貸契約中に、物件が勝手に売却されることは、基本的にはありません。しかし、「必ずない」とは言い切れません。
リースバックで売却した物件の所有者は、買主である不動産会社です。そして、不動産会社も会社である以上、倒産する可能性があります。会社が倒産すれば、賃貸契約中の物件は人手に渡り、新たな所有者から立ち退きを要求されるかもしれません。中には悪質な業者もいて、買主(借り手)に黙って、勝手に売却されてしまうことも…
どんなに契約書を確認しても、買主倒産のリスクだけは避けられません。
リースバックの仕組みを知り、トラブルを回避しよう
リースバックなら、自宅を売却したことによるまとまった資金を得ながら、慣れ親しんだ生活スタイルを変えずに済みます。不測の事態でまとまったお金が必要になった方にとって、リースバックが「夢のような仕組みだ」と思えるかもしれません。
しかし、リースバックにはメリットだけでなく、デメリットもあります。仕組みを理解し、デメリットやリスクをきちんと受け止めていないと、紹介してきたようなトラブルに見舞われるかもしれません。
メリットとデメリットを天秤にかけた結果、リースバックが最善の選択肢ではなかったと気付くこともあるでしょう。
「ある日突然、まとまったお金が必要になった」
「今後の生活を安定させることが何より重要」
そんな”2つの条件”に当てはまる方にとっては、リースバックよりも、買取業者を利用した売却が適しています。
買取業者とは、売主から不動産を直接買取り、リフォームやリノベーションを経て再販する業者のこと。自宅での生活は手放すことになるものの、まとまった資金を得て、より安くて良い家に引越すこともできるでしょう。何より、大切な我が家を生まれ変わらせ、新しい家主の下へ送り出すことができます。
そんな買取業者の中でも、マンションの売却におすすめなのが、”すむたす売却”というサービスです。
すむたす売却は、PCやスマートフォンから5つの項目を入力するだけで、マンションの売却査定ができるサービス。査定は最短1時間で完了し、価格が気に入れば、2日以内にマンションを現金化することもできます。
売却に必要なのは30分程度の現状確認で、物件の現状修復も不要。査定価格が気に入らない場合も、売却を促す営業電話がかかることはないので、安心して利用できます。
選択肢のひとつとして、まずは査定してみてはいかがでしょうか。リースバックの売却査定と比べるための、参考にもなります。