マンションは、高い買い物です。高かった分、売却するとしても、少しでも高く売りたいと考えるのは当然のことです。
では、マンションを高く売るには、どんなことに気をつければいいのでしょうか。いろいろな答えがあるものの、売却のタイミングに気を配ることで、手元に残る利益をより大きくできます。
本記事では、マンション売却に最適なタイミングはいつなのか、ケースごとに解説。売却による利益を左右する3つの要素と、要素ごとに何に気を付け、どんなタイミングで売れば良いのかをお伝えします。
マンション売却のタイミングを決める3つの要素
マンション売却のタイミングを見極めるには、売却益に影響を与える3つの要素について、知らなければなりません。マンション売却のタイミングを決める3つの要素とは、次のものです。
- 市場相場
- 築年数
- 税金
それぞれの要素が売却益にどのような影響を与えるのか、ひとつずつ見ていきましょう。
市場相場
マンションの売却タイミングを決める要素に、市場相場があります。
市場相場とは、近隣エリアにある、近い条件の物件(競合物件)の価格相場のことをいいます。マンションそのものの立地条件や建物としての価値のほかに、競合物件がどの程度の価格で、どのくらい売り出されているかによっても変動します。
築年数
マンションの築年数も、売却のタイミングを見極めるのに重要です。
築年数とは、建物が建ってからどのくらいの年数が経っているのか、ということ。マンションを購入してからではなく、建ってから現在までの期間のことです。
一般的に、築年数が新しいマンションほど高く、古いほど安くなります。築年数が新しいマンションなら、なるべく早いタイミングで売却しましょう。
税金
実は、マンションを売却するタイミングによって、かかる税金は変わってきます。
売却にかかる税金は、マンションの所有期間によって決まり、5年・10年を境に税率が変わります。特に、所有5年以下のマンションにかかる税金は、5年を超えるマンションの2倍です。タイミングによっては、売却を少し待った方が得策かもしれません。
所有期間 | 所得税率 | 住民税率 |
---|---|---|
5年以下 | 30.63% | 9% |
5年超 10年以下 | 15.315% | 5% |
10年超(譲渡所得6,000万円以下部分) | 10.21% | 4% |
10年超(譲渡所得6,000万円超部分) | 15.315% | 5% |
築年数で見る、マンション売却のタイミング
マンション売却のタイミングを決める要素の中でも、最も重要なのが築年数です。築年数とは、マンションが建ってからどのくらいの年月が経過したかということ。一般的に、築年数が新しいマンションほど高く、古いマンションほど安く売れる傾向にあります。
築年数が売却価格にどのくらい影響するのかは、首都圏を対象に、マンションの資産価値を築年数ごとに比較した次の表を見れば、一目瞭然です。
築年数 | 築5年を基本とした価値割合 |
---|---|
~5年 | 100% |
10~15年 | 約76% |
15~20年 | 約63% |
20年~ | 約42% |
参考:首都圏不動産流通市場の動向(2018年)│公益財団法人東日本不動産流通機構
基本的に、マンション売却のタイミングは、早ければ早いほど良いです。しかし、場合によっては売却を少し待った方がいいこともあります。それぞれ、売却においてどんなタイミングなのか、どんな場合に売却を待った方がいいのかを解説していきます。
~築5年
築5年以内のマンションは、相当新しいマンションとして、高く売れます。売却したいと考えているなら、なるべく早く売るべきでしょう。
しかし、ここで考えなければならないのが税金です。5年経っていないということは、当然、所有期間も5年未満ということになります。所有期間5年を境に、売却にかかる税金が半分になることを考えると、「少し待った方がいいのでは?」と思う方も多いでしょう。
そんなときは、売りたいマンションの市場相場を調べ、築5年を境にどのくらい価格が変わりそうなのか調べてください。築5年を過ぎる前に売りることで、税金の高さを補うだけの差額を出せるのかを調べるのです。
築5~10年
築5~10年のマンションは、新しいマンションとして人気でありながら、売却してもかかる税金は築5年未満のマンションの半分です。まさに売り頃の物件といえるでしょう。
設備や建物の劣化も少なく、室内もきれいな状態なので、リフォームやハウスクリーニングにかかる費用も少ないです。
築10~15年
築10年を過ぎたあたりから、建物や設備の劣化が始まります。しかし、中古物件としては新しい部類に入り、新築よりも低価格で買えるため、人気は高いです。
売却にあたり気をつけたいのが、補修工事のタイミング。経年劣化の目立ってくる築10~15年という時期は、大きな補修工事が行われるタイミングでもあります。補修工事の積立金は住民が共同負担するため、「余計な費用がかかる」と買い渋る購入希望者もいるでしょう。
築15~20年
築15~20年のマンションは、場合によっては、築10~15年のマンションよりも売りやすいかもしれません。その理由は、補修工事にあります。
多くの補修工事は、築15年を目処に行われます。補修工事が終わっていれば、築年数は多少古くなっても、マンションの見た目はきれいになっているでしょう。買い手としては、購入後に補修工事の積立金を支払う必要もないので、買いやすいと感じます。
築15~20年のマンションを売るなら、補修工事が終わったタイミングがベストです。
築20年~
築20年は、マンション売却における1つの境目となるタイミングです。新耐震基準が適用されたマンションとそうではないマンションが、混在するタイミングだからです。
新耐震基準とは、1981年6月1日以降に立てられたマンションに適用されている基準のこと。新耐久基準が適用されていないマンションは、安全面から、非常に売りにくいです。
また、新耐震基準の適用・非適用を別にしても、築20年を過ぎたマンションは古い部類に入ります。20年以上前の間取りや天井の高さなど、現在の流行にそぐわないものになっていることが多いでしょう。設備の劣化、見た目の古さも目立つので、内見で購入意欲が下がることもあります。
とはいえ、古くなればなるほど、売りづらくなっていくのは変わりません。なるべく早いタイミングで売ってしまいましょう。
所有期間で見る、マンション売却のタイミング
所有期間も、マンション売却のタイミングを判断するための材料となります。マンション売却により利益が発生すると、翌年の所得税と住民税が増え、税率は所有期間によって変わるからです。売却益は次の計算式で、所有期間による税率は次の表でわかります。
所有期間 | 所得税率 | 住民税率 |
---|---|---|
5年以下 | 30.63% | 9% |
5年超 10年以下 | 15.315% | 5% |
10年超(譲渡所得6,000万円以下部分) | 10.21% | 4% |
10年超(譲渡所得6,000万円超部分) | 15.315% | 5% |
なお、所有期間とはマンションを購入してから手放すまでの期間のことであり、築年数のことではありません。所有期間は、売却した年の1月1日を境に計算されるため、実際の所有期間が5年を超えていても、売却タイミングによっては所有5年以下となることもあります。
次からは、所有期間ごとの税金から、マンション売却に適したタイミングを見ていきます。
~所有5年以下
売却にかかる税金が最も高い時期は、所有期間5年以下です。
売却で利益が発生した場合、所得税は30.63%、住民税は9%かかります。所有5年をもうすぐ超えるタイミングなら、少し待ってから売るのが賢明でしょう。
ただし、所有期間=築年数なら、話は変わります。築5年までのマンションは、築5年超えのマンションよりも20%ほど高く売れる傾向にあるからです。
所有5年超え10年以下
所有5年超え10年以下のマンションの売却にかかる税金は、所有5年未満のマンションの半分です。所有期≠築年数で、もうすぐ所有5年を過ぎるというタイミングなら、少し待ってから売りましょう。
売却で利益が出た場合にかかる税金は、所得税で15,315%、住民税で5%です。
所有10年超え
所有10年を超えたマンションは、売却益にかかる税金が最も低いです。所有期間を気にすることなく、マンションがこれ以上古くなる前に、早いタイミングで売りましょう。
所有10年越えのマンションにかかる税金は、譲渡所得(売却により得た利益)の金額により変わります。譲渡所得が6,000万円以下なら、所得税が10.21%、住民税が4%。6,000万円を越える部分には、所得税が15.315%、住民税が5%かかります。
個人事情でのマンション売却にも、タイミングはある
マンションを売る理由も、売却のタイミングに影響を与えます。
例えばマンションが競売になりそうで、任意売却を目指しているなら、売るべきタイミングは「とにかく早め」です。一方、時間の余裕があるなら、売却を少し待つべきタイミングもあります。
次からは、任意売却でとにかく早く売るべき理由と、売却を待つべきタイミング・少しでも早く売るべきタイミング、それぞれについて見ていきます。
任意売却に適したタイミング
任意売却を考えているなら、ベストタイミングを考えている余裕はありません。とにかく早く売ってください。
早く売らなければならない理由は、任意売却が成立する前に、競売になってしまうかもしれないからです。競売になってしまえば、売却額は市場相場の5~7割程度にまで落ちてしまいます。しかも、競売が決まればすぐに立ち退かなければならず、引越しの準備もできません。
任意売却なら、通常の売却とそう変わらない価格で売れるうえに、売却額の一部を引越し費用にあてられたり、ある程度自由な時期に引越したりできます。
少し待ってから売却すべきタイミング
少し待ってから売却すべきタイミングは、所有期間5年の境目の時期です。
マンションの売却益にかかる税金は、所有期間5年を境に半分になります。少し待って売ることで、売却額がよほど下がりそうだというわけでもなければ、所有5年目を過ぎたタイミングで売りましょう。
なお、所有10年を境に変わる税金は、所得税で0.05%、住民税で1%。待った方が負担は抑えられますが、その分築年数も古くなります。早めのタイミングで売るのが賢明です。
なるべく早めに売却すべきタイミング
築年数以外にも、なるべく早めにマンションを売却すべきタイミングがあります。近隣に、競合物件が増えそうなタイミングです。
不動産会社のWebサイトをこまめに見ていると、競合物件が増えそうだというタイミングが、わかってくるでしょう。今まで多くなかった競合物件が増えつつある、競合物件が増えそうな何らかの事情を知ったときなどは、早めに売るべきタイミングです。
売れづらいタイミングでマンションを売却するコツ
マンション売却には、早く売るべきタイミングもあれば、少し待つべきタイミングもあります。同時に、補修工事前や築年数が古すぎる場合など、「売りづらいタイミング」も存在します。
マンションが売りづらいタイミングとは、「個人としての購入を渋る、何らかの理由があるタイミング」です。例えば補修工事前のマンションを買えば、買主は購入費用だけでなく、工事の積立金まで負担しなければなりません。築年数が古く、見た目や設備の悪くなったマンションに、住みたいと感じる人も少ないでしょう。
補修工事前のタイミングなら、工事が終わるのを待てばいいでしょう。しかし、築年数の古いマンションは、リフォームでもしない限りどうしようもないのでしょうか。
そんなことはありません。古くなったマンションは、仲介業者ではなく、買取業者に売ればいいのです。
買取業者とは、古くなったマンションを買取り、リフォーム・リノベーションで魅力的に生まれ変わらせてから売却する業者のこと。リフォームを前提としているため、古いマンションや汚いマンションも、そのまま買取ってくれます。
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