マンションを購入する際には、金融機関で住宅ローンを組み、そのお金で購入をするのが一般的です。しかし、住宅ローンは必ずしも組む必要はなく、手元に資金さえあれば現金で一括購入することも可能です。
この記事では、マンションを現金で一括購入する際のメリットや注意点について解説します。
マンションを現金で一括購入するメリット
マンションを現金で一括購入すると、住宅ローンを組む必要がなくなります。住宅ローンを組まないことが、どのようなメリットにつながるのか解説します。
- ローンの金利を気にしなくてよい
- ローンを組む手間や費用を抑えられる
- 引き渡しまでが短期間になる
ローン金利を気にしなくてよい
住宅ローンには借入金額に対して一定の金利がかけられます。
住宅ローンは組まずに現金で一括購入すれば、金利によって支払い額が増えることはありません。
また、住宅ローンを借りる方の多くは変動金利を選択しますが、このタイプのローンは将来的に金利が上がるリスクを抱えることになります。現金で一括購入すれば、このような懸念を一切に気にする必要がなくなるのも嬉しいポイントでしょう。
ただし日本の金利は長期間に渡って超低金利になっており、ローンの種類によって0.3~0.4%といった、ほとんどゼロに金利が設定されることもあります。こうした状況を踏まえると、金利に関するメリットはそこまで大きくないと言えるでしょう。
ローンを組む手間や費用が不要になる
住宅ローンを組む際には、金融機関で審査をしてもらう必要があります。
審査には就業状況や現在の借入状況などさまざまな書類を提出や、担当者との面談など、多くの手間と時間がかかります。
またローンを借りるときには、融資手数料が発生します。金額は金融機関によってことなりますが、「借入金額×2%」に定められることが多いです。仮に3000万円の融資を受ければ手数料は60万となり、決して軽視できない大きな金額です。
マンションを現金で一括購入すれば、このような手間と費用を節約できます。
引き渡しまでが短期間になる
住宅ローンを正式に組むのは、マンションの売主との売買契約を締結した後です。本審査を受けてから、融資が下りるまでには2週間~1か月程度の時間がかかります。
しかし、現金での一括購入なら、売買契約後はすぐに決済と引き渡しの準備に入ることができます。
人気のあるマンションを購入したい場合は、何人もの購入希望者が競うような状況も発生します。こんな時に、「ローンの審査をせずに、現金ですぐに購入できます」と売主に伝えれば、大きなアドバンテージとなり、気に入った物件を買い逃す可能性を避けられるでしょう。
また、売主が何らかの事情でマンションの売却を急いでいる場合、引き渡しまでの期間を短くできる現金の一括購入は、値下げ交渉の材料にもなります。
マンションを現金一括購入するデメリット
住宅ローンを組まずに、現金でマンションの一括購入をすることにはメリットがある一方で、注意しておきたい点もあります。
- 住宅ローン控除が受けられない
- 手持ちの資金が大きく減ってしまう
住宅ローン控除が受けられない
住宅ローンを組んで、マンションを購入する場合は「住宅ローン控除」といって、毎年の所得税を減額できる仕組みがあります。
この制度は、「年末時点の借入残高の0.7%の金額を、その年の所得税からそのまま差し引ける」というもので、新築住宅で13年、中古住宅では10年間適応されます。
たとえば、借入残高が3,000万円であれば、その年の所得税が21万円も安くなります。このように、住宅ローンを多く借りていれば、その分大きな節税効果があります(控除が適応される、ローンの上限は5000万円まで)。
現金での一括購入してしまうと、住宅ローン控除の恩恵を一切受けられません。この点が、最大のデメリットと言えるでしょう。
手持ち資金が大きく減ってしまう
マンションを現金で一括購入するためには、数千万円単位の自己資金が必要になります。
一気に手元のお金がなくなることになるので、万が一の病気や事故などへの対応が難しくなる可能性は、考慮しなくてはならないでしょう。
一括購入がおすすめできるケース
一括購入で大きく手元の資金を減らしても、十分に資金が残り、不測の事態にも備えられるのなら一括購入をしても問題はないでしょう。
また、住宅ローン控除は、購入する物件が新築の場合、その物件が省エネ基準を満たしていないと、2024年からは一切の控除が受けられなくなります。
一括購入ができる資金が十分にあるなかで、住宅ローン減税の対象外となるマンションを購入するのなら、旨味がなくなるので、一括購入の方がおすすめです。
無理な現金一括購入は避けよう
住宅ローンには金利があり、可能であるならば現金で一括購入する方が、メリットが大きいように感じるかもしれません。
しかし、現在の住宅ローンは超低金利といわれるほど、金利が低く設定されています。
住宅ローンの金利の低さや、住宅ローンを組むことで得られる減税という大きなメリットを考慮すれば、よほど資金に余裕がない限りは、現金での一括購入はおすすめできないものとなります。