マンションの相続を放棄することはできるの?手続きや注意点を解説

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マンションの相続放棄とは?

相続放棄とは、親や親族の遺産を相続することが決まった際に、相続権を放棄し、遺産を一切相続しないことを指します。相続放棄をする主な理由は、相続できる財産よりも負債の大きい場合や、相続財産の処理が困難な場合などがあります。

マンションを相続する場合は、「誰かが住み続ける」「賃貸として活用する」「売却する」などの選択肢がありますが、どの選択肢を取っても手間やトラブルが発生しやすいので、「面倒だから相続したくない」と考える人もいるでしょう。

相続放棄をすれば、マンションの相続を拒否することは可能です。しかし、特定の財産だけを相続放棄ことはできないため、マンションの相続を放棄すれば、そのほかの資産を受け継ぐ権利も失うことになります。

マンションの相続放棄のメリットとデメリット

マンションの相続放棄には、以下のようなメリットとデメリットが存在します。

メリット

相続放棄を行う最大のメリットは、負債を相続しなくても済むということです。遺産を相続する際、資産よりも負債が多い場合、そのまま相続してしまうと経済的に損をしてしまいますが、相続を放棄すればこの負担を避けることができます。

また遺産の相続には、面倒な手続きが必要だったり、遺産の処理に手間がかかったり、さらには親族間でトラブルが発生することも少なくありません。その点、相続放棄をすれば、簡単な手続きを済ませるだけで、これらの手間と時間を回避することができます。

特にマンションを相続すると、管理費・修繕費などの固定費が必ず発生しますし、部屋の片づけや掃除も定期的に必要でしょう。売却をするにしても、買い手を見つけるには3~6ヶ月の間、何度も内覧対応をしたり、不動産会社とのやり取りを重ねる必要があり、かなりの手間と負担がかかります。

相続放棄をすれば、このようなストレスを抱えることはありません。

デメリット

相続放棄は、すべての遺産を相続する権利を放棄することになるため、財産の中に価値のあるものが含まれていた場合でもそれを受け取ることはできません。

また、相続放棄は一度行うと取り消すことができないため、3か月という短い期間で、自分にとってベストな選択を慎重に選ぶ必要があります。

 

マンションの相続放棄の手続き

相続放棄は、短い期間で正しい手順に従って行う必要があります。以下のチャートでは、相続放棄を進める大まかなプロセスを解説しています。

相続放棄のプロセス
  • step.1
    相続開始の確認
    まず、相続が開始された日を確認します。これは、相続人が死亡した日となります。
  • step.2
    相続人の確定
    次に、遺産を相続する法定相続人を確定します。法定相続人の順位は、「配偶者」「子供」「直系尊属(父母や祖父母など)」「兄弟や姉妹」という順序が定められており、相続の割合も順位ごとに異なります。
  • step.3
    遺産の評価
    故人の遺産を整理し、資産と負債がそれぞれいくらあるのか評価します。
  • step.4
    相続に関する意思決定
    遺産の評価をもとに、「単純承認」「限定承認」「相続放棄」の3つの種類の中から、意思決定をします。資産よりも負債が大きい場合は、「相続放棄」を選ぶのが妥当でしょう。
  • step.5
    家庭裁判所へ申し立て
    相続放棄をする場合、家庭裁判所に申し立てを行います。申し立ては、相続開始から3ヶ月以内に行う必要があります。この際、申述書など必要な書類もまとめて提出しましょう。書類が受理されれば、手続きは完了となります。

マンションを相続する場合は、名義を変更するための登記をする必要があります。しかし、相続を放棄している場合は、登記に関する手続きをする必要はありません。

相続の種類

遺産の相続には、「単純承認」「限定承認」「相続放棄」の3つの種類があります。

限定承認と相続放棄を選択する場合は、相続発覚から3か月以内に手続きを完了する必要があります。3か月以内に何も手続きをしない場合は、自動的に単純承認したとみなされ、全ての資産と負債を相続することになるため注意しましょう。

それぞれの特徴と、選択されるケースは以下の表のとおりです。

相続方法特徴選択されるケース
単純承認全ての資産と負債を引き継ぐ。遺産分割協議が円滑に進めば速やかに相続できる。資産が負債を上回っている
限定承認後から負債の額が資産の額を超えても、遺産の範囲内でのみ負債を負担できる。資産と負債の額が確定していない

相続人全員が同意している

相続放棄相続人は全ての資産と負債を放棄します。手続きは比較的簡単で、遺産分割協議を必要としません。負債が資産を上回っている場

相続財産の処分や管理に時間や労力をかけたくない

基本的には、「資産>負債」なら単純承認「資産<負債」なら相続放棄、と考えておきましょう。

限定承認は、資産と負債の額が明らかになっておらず、「現時点では資産が上回っているが、後から新たな負債の存在が発覚する可能性がある」という場合に選択されます。限定承認を選ぶと、後から負債が資産を上回った場合でも、相続した資産内でのみ負担することになるため、経済的な損失を避けることができます。限定承認について詳しく知りたい場合は、以下の記事をご参照ください。

 

意思決定の時間が足りない場合

相続が発覚してから、意思決定をするまでは3か月の期間が設けられています。

しかし、財産の整理や他の相続人との協議に時間がかかってしまい、時間が足りなくなるケースも多いでしょう。このような場合は、家庭裁判所に申し立てを行うことで、猶予期間を延長してもらうことが可能です。

ただし、全てのケースで申請が受理されるわけではなく、「被相続人が遠隔地に住んでいるため書類がなかなか揃わない」「他の相続人と連絡がつかない」「財産の調査にさらに時間が必要である」など正当な理由が必要です。

 

相続放棄に必要な書類

相続放棄の手続きには、以下の書類を家庭裁判所に提出する必要があります。

書類名役割入手方法注意点
相続放棄の申述書相続放棄を希望する旨を明記する。家庭裁判所の窓口やウェブサイトからダウンロード可能。相続人本人が署名し、日付を明記する必要がある。
戸籍謄本相続人の身元を証明する。居住地の市区町村役場で取得可能。被相続人との続柄によって必要な謄本の要件がことなる

基本的には、相続放棄の申述書と、被相続人との続柄を明らかにするための戸籍謄本の2つの書類が必要になります。

申述書に関しては、各家庭裁判所の様式にしたがって書類を記載すれば、問題なく提出できるでしょう。

一方、戸籍謄本は被相続人との続柄に応じて、必要な謄本の種類が異なるので注意が必要です。自分にはどのような戸籍謄本が必要かは、以下の裁判所のウェブサイトよりご確認ください。

 

マンションを相続放棄するときの注意点

同じマンション内での住み替えの注意点

マンションを相続放棄するときは、以下の3点に注意しましょう。

  • 相続人全員が放棄したときのリスクを知っておく
  • 生命保険の受取に注意
  • 遺品整理は慎重に

相続人全員が放棄したときのリスクを知っておく

相続放棄が選ばれるのは、「資産より負債のほうが多い」という場合がほとんどなので、同様の理由で他の相続人も全員が相続を放棄するということもあり得るでしょう。

この際に問題になるのが、相続人全員が放棄したマンションの管理をどうするかです。

相続放棄によってマンションの所有者が空白になった場合、相続人全員が管理責任を問われることになります。例えば、管理費や修繕費の支払い、近隣トラブルが発生しないに部屋を清潔に保つ、などの義務が課せられます。

しかし、現実的にはこうした管理責任が果たされないことも多く、管理組合が相続人に対して請求や訴訟を行うというケースもあるようです。国土交通省の資料によれば、このようなトラブルが発生した場合は、任意売却や競売によって物件を売却し、売却金は滞納していた支払いに充てられるという解決策が取られているようです。

いずれにせよ、相続放棄されたマンションの管理に関しては、十分な情報が出そろっていないため、専門家に相談することをおすすめします。

生命保険の受取に注意

被相続人が生命保険に加入している場合は、死亡時に保険金が支払われることになります。

この際、保険金の受取人が相続人に設定されている場合は、それは相続財産ではなく、相続人自身の財産とみなされます。そのため、保険金だけを受けとり、他の財産は相続放棄するということも可能です。

ただし、受取人が被相続人に指定されている場合は、保険金は相続財産とみなされ、受け取ってしまうと相続放棄ができなくなります。例えば、入院給付金・満期保険金などの保険は本人が受取人に設定されることが多いので注意しましょう。

遺品整理は慎重に

被相続人がマンションに居住していた場合は、遺品の整理を行うことになるでしょう。

この際に注意したいのが、高価な遺品を持ち帰ったり、自分で処理や売却をしてしまうと、「相続財産の一部を所得した」とみなされ、相続放棄ができなくなることです。例えば、高価な宝石や着物などがこのケースにあたると考えられます。

どこからが財産とみなされるかは明確な基準がないため、遺品整理をする際は、事前に専門家に相談するほうが良いでしょう。

 

相続放棄は専門家に相談しよう

本記事では、マンションの相続放棄について詳しく解説しました。

相続放棄は、一つひとつの手続きや意思決定の難易度が高く、安易な判断をしてしまうと、経済的な損失を被ることになりかねません。

そのため、相続人だけですべてを進めるのではなく、弁護士・行政書士など相続に関する専門家のサポートを必ず受けるようにしましょう。

すむたすマガジン編集部

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