リノベーション物件なら、新築並みにきれいな物件を、中古物件とあまり変わらない価格で購入できます。ただ、リノベーション物件ならではの注意点もあります。後悔しないリノベーション物件の選び方と、重点的に確認すべきポイントを紹介します。
リノベーションとリフォームの違い
リノベーションとリフォームは同じ意味に感じるかもしれませんが、実は明確な違いがあります。リノベーション物件について考える前に、まずはこの2つの言葉の違いを理解しておきましょう。
リフォームとは
リフォームとは、古くなった建物を新築に近い状態に直すことです。「物件全体の修繕・修理」をするのがリフォームだと考えておきましょう。
リノベーションとは
リノベーションとは、建物の価値を高めるために工事を加えることです。新築に近い状態に戻すリフォームと違い、物件の間取りやデザインをガラリと変えることも多いです。
リノベーション済み物件のメリット
リノベーション済みの物件を購入する方が、安価な物件を購入して自分でリノベーションをするよりも、時間もお金もかからないでしょう。リノベーション済みの物件を購入することのメリットを、5つ紹介します。
【リノベーション済み物件のメリット】
- 見た目や設備は新築並み
- 新築マンションよりも安い
- 仮住まい不要ですぐ住める
- 契約不適合責任が2年ある
- 住宅ローンや資金計画が組みやすい
見た目や設備は新築並み
リノベーション済み物件は、見た目や設備は新築並みにきれいで新しいです。このメリットは自分でリノベーションをする場合にもいえるものですが、リノベーションには時間も手間もかかります。
中古物件はどんなにきれいでも、前の住人が暮らしていたときの使用感が残っています。使用感の全くない物件で暮らせるのは、新築かリノベーション物件くらいのものでしょう。
新築マンションよりも安い
リノベーション物件は新築並みのきれいさでありながら、新築マンションよりも安く購入できるケースが多いです。
仮住まい不要ですぐ住める
リノベーション物件は、新築物件や自分でリノベーションをするのと異なり、購入後すぐに住めます。もちろん仮住まいも不要で、仮住まいの家賃や、仮住まいからの引越し費用もかかりません。
新築物件は建設中に販売されることも多く、契約をしてから数ヵ月~1年ほど待たなければならないことも多いです。自分でリノベーションする場合、方法によっては物件に住みながら工事を進めることもできますが、落ち着いて生活できない可能性もあります。
契約不適合責任が2年ある
リノベーション物件は不動産会社が売主であることが多く、この場合、2年以上の契約不適合責任があります。契約不適合責任とは、通常気づかないような欠陥が契約後に見つかったとき、その補償をしてもらえることです。例えば購入から1年目に給排水管のトラブルが見つかったら、修理費や契約解除の請求ができます。
契約不適合責任で補償してもらえるのは、次のようなトラブルです。
- 雨漏り
- 給排水管の損傷
- 電気系統のトラブル
- シロアリによる被害
※なお、このようなトラブルが契約書等に明記されていた場合は請求ができません。
売主が個人の場合も契約不適合責任は適用されますが、期間は購入から2~3ヵ月であることが多いです。リノベーション物件を購入するなら、法人が売主の物件を選んだ方が安心でしょう。
住宅ローンや資金計画が組みやすい
自分で物件をリノベーションするよりも、リノベーション物件を購入する方が、住宅ローンや資金計画を組みやすいです。
中古物件を購入して自分でリノベーションをする場合、中古物件の購入費を住宅ローンで、リノベーション費用をリフォームローンで組むことになるでしょう。最近ではリノベーション費用を組み込める住宅ローンも増えていますが、中古物件の引渡しまでに契約書や見積もり書を提出しなければならないものも多く、利用しづらいです。
リフォームローンは住宅ローンと比べ、金利が高く返済期間が短い傾向にあり、返済負担が大きくなりやすいです。住宅ローン一本にまとめられるリノベーション物件の方が、返済負担も、支払日や残債の管理負担も小さくなるでしょう。
また、中古物件を購入してリノベーションする場合、物件購入時にはリノベーション費用が確定しないことも多いです。リノベーションプランが決まらないことには、費用も決められないからです。
一方、リノベーション物件は購入時にかかる費用の総額がわかります。かかる費用が明確にわかること、返済を住宅ローン一本にまとめられることから、資金計画も組みやすいです。
リノベーション済み物件のデメリット
リノベーション物件には、中古物件を購入して自分でリノベーションしたり、そのまま住んだりすることにはないデメリットもあります。リノベーション物件にこだわるよりも、「自分たちにとって暮らしやすい物件」を探すことを意識した方が、物件選びの満足度は高くなるでしょう。
リノベーション物件のデメリットを3つ紹介します。「中古物件を購入して自分でリノベーションする」のと、「中古物件にそのまま住む」のと、どの方法が良さそうかイメージしながら読み進めてみてください。
【リノベーション済み物件のデメリット】
- 選べる物件が限られる
- 中古物件より割高なことも
- 共用部や見えない部分が古いままなことも
選べる物件が限られる
リノベーション物件にこだわりすぎてしまうと、選べる物件が限られてきます。リノベーション物件にこだわるあまり、未リノベーションの良い物件を見逃してしまうかもしれません。
大切なのはリノベーション済みであることではなく、間取りやデザイン、立地などを総合した「暮らしやすさ」です。どんな物件で暮らしたいのか、まずはイメージと予算をハッキリさせ、それに合う物件を探しましょう。
中古物件より割高なことも
マンションをリノベーションするにはそれなりの費用がかかります。費用がかかっていること、ほかのマンションよりも条件が良いことから、リノベーション物件は通常の中古物件よりも割高なことがあります。
特に気をつけたいのが、リノベーション費用を売り出し価格にそのまま上乗せしている物件です。「リノベーション済みだし、仕方ないか」と考えるのではなく、同レベルの物件の相場と比べて高いのか、安いのかで考えましょう。
共用部や見えない部分が古いままなことも
リノベーション物件といっても、新しいのは専有部分(室内)だけで、共有部分や外観は古いままです。内見時は「部屋さえきれいなら、まぁいいか」と思うかもしれませんが、暮らし始めてから気になることもあります。きちんと納得したうえで、購入を決めましょう。
また、リノベーション物件は「見えない部分」が古いままなこともあります。中古物件を購入して自分でリノベーションする場合、壁の内部や床下をチェックすることもできますし、古くなった部分を修繕するプランを組むこともできます。
見えない部分の老朽化をそのままにしておくと、後々の不具合につながりかねません。信頼できる不動産会社を選び、施工結果報告書もしっかりチェックしましょう。
リノベーション済み物件を購入するときのチェックポイント
リノベーション物件には「きれいな物件を安く買える」「購入後すぐに住める」といったメリットもありますが、リノベーション済みだからこその注意点もあります。チェックすべきポイントを紹介するので、暮らし始めてから後悔しないよう、慎重に物件を選びましょう。
保証や契約内容をしっかり確認しよう
リノベーション物件に限らず、保証や契約内容はしっかり確認しましょう。特に重要なのが保証で、リノベーション物件の中には、購入後のアフターサービスが付いていることもあります。アフターサービスの有無と内容をチェックし、購入後に不具合が生じたらどうすればいいのか、どの程度保証してもらえるのかを把握しておきましょう。
リノベーションの内容や、見えない部分も要チェック
リノベーション済みであるからこそ、壁の内部や床下がどうなっているのかなど、確認できないことも多いです。見えない部分も修繕したのか、どのようなリノベーションを行ったのか確認すべきです。
ただ、一般の方がどんな工事が行われたのかをチェックし、理解するのは難しいでしょう。そこでおすすめなのが、その物件が「適合リノベーション住宅」であるかどうかを確認する方法です。
適合リノベーション住宅とは、一般社団法人リノベーション協会が定めた規格です。
これに沿って検査や工事が行われた住宅が、適合リノベーション住宅として認められます。壁や天井の内側、配水管などの見えない部分についての検査基準もしっかり設けられていること、買主への保証が情報開示が義務付けられていることから、安心できるでしょう。
共有部分の修繕計画も踏まえ、資金計画を
マンションを購入した後は、月々の管理費や修繕積立金を支払わなければなりません。リノベーション物件も例外ではなく、購入した部屋は新しくても、共有部分やマンション全体は古いままです。共有部分の修繕計画も踏まえて、余裕を持った資金計画を立てましょう。
特に修繕積立金は、築年数が上がるにつれて、金額が増えていくことがあります。修繕積立金が足りていないと、一時金を支払うこともあります。修繕計画や積立金の状況などを確認しておけば、資金計画も組みやすくなるでしょう。
ホームインスペクションや買取直販は安心度が高い
リノベーション物件には「見えない部分がきちんと修繕されているかわからない」というデメリットがあります。今は問題なくとも将来的に不具合が起こることもありますし、高いお金を出して買う以上、安心できる物件を選びたいものです。
そこでおすすめなのが、「ホームインスペクション」と「買取直販」です。
ホームインスペクションとは
検討しているリノベーション物件が、見えない部分まできちんと修繕されているか不安なら、ホームインスペクション(住宅診断)を実施するのがおすすめです。ホームインスペクションとは、資格を持つ第三者に住宅を診断してもらうことです。ホームインスペクションで「問題なし」と言われれば安心ですし、問題があれば購入前に見つけられます。
ホームインスペクションにかかる費用は5万円ほどと安くはありませんが、欠陥のあるマンションを買ってしまうリスクを考えると、実施する価値はあるでしょう。
買取直販とは
信頼できる不動産会社の買取直販を利用するのも、リスクヘッジの手段です。買取直販とは、中古物件を前の所有者から買い取り、リフォームやリノベーションを行ったうえで、別の買主へと再販することです。買取直販の売主は不動産会社であるため、契約不適合責任も最低2年ついています。
もちろん、売主が不動産会社だからというだけで、安心できるわけではありません。会社HPの実績、口コミやSNSでの評判などをチェックし、信頼できる会社を探しましょう。