相続不動産の売却にかかる3つの税金
相続した不動産を売却する際にかかる税金は以下の3つです。
- 登録免許税
- 印紙税
- 譲渡所得税
それぞれの税金の計算方法や減税するためのポイントについて、解説していきます。
登録免許税
1つ目に必要になる税金は「登録免許税」です。登録免許税が課税される登記には、3つの手続きがあります。「所有権保存登記」、「所有権移転登記」、「抵当権設定登記」の3つです。それぞれの登記内容を解説します。
【所有権保存登記】
所有権保存登記とは、新築を購入した際に行う登記です。対象の不動産をめぐって裁判になった際に必要になるので、任意ではあるものの、購入者が登記していると便利なこともあります。
【所有権移転登記】
所有権移転登記とは、他人が所有していた不動産を取得した際に行う登記です。売買ではもちろん、相続や贈与で不動産を受け継いだ場合にも必要です。所有権移転登記は、元の所有者と新しい所有者の両方が登記をする必要があります。
【抵当権設定登記】
抵当権設定登記とはローンを組んでいる金融機関が対象の不動産を担保に取るために設定しておく権利のことです。万一、ローンの支払いができなかった場合には、不動産を担保にお金を回収するための保険のようなものです。登録するのは金融機関ではあるものの、手続きは購入者が行う必要があります。
登録免許税を求める計算式は<登録免許税=売却価格×税率>です。売却するのが土地なのか建物なのか、どのような方法で所有権が移動するのかでも税率は異なります。
【登録免許税の税率:土地】
相続:0.4%
【登録免許税の税率:建物】
相続:0.4%
相続した不動産を売却する際には、売却価格×2%が請求されます。
印紙税
次に必要になる税金は「印紙税」です。印紙税とは、不動産売買契約書に添付が必要な印紙に必要な税金です。売買契約書に印紙を添付することで、税金を納めた証拠になります。印紙税の価格は、不動産売買契約書に書かれている「売買価格」に応じて異なります。
収入印紙の金額は、マンション売却の契約金額に応じて、次の表のように変動。
2020年4月1日現在、「令和4年3月31日までの間に作成される、次の2種類の契約書について印紙税の税額が軽減されます」と、国税庁により税額が軽減されています。
【印紙税早見表】
契約価格 | 本則税額 | 軽減税額 | |
---|---|---|---|
100万円超え | 500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円超え | 1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
1,000万円超え | 5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
5,000万円超え | 1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
1億円超え | 5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
5億円超え | 10億円以下 | 20万円 | 16万円 |
10億円超え | 50億円以下 | 40万円 | 32万円 |
50億円超え | – | 60万円 | 48万円 |
なお、「令和4年3月31日まで」という期間は、元々の「令和2年3月31日まで」の期間から延長されたものです。
今後、期間が変更となる可能性もあるため、マンションの売却時は国税庁のWebページで再確認してください。
不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置
印紙税は最も安い場合は1万円、高いときでも60万円ほどです。(軽減税率を考慮しない場合)
譲渡所得税
最後に必要な税金が「譲渡所得税」です。譲渡所得税とは、不動産を売却して得た所得(利益)に対して課税される税金です。
不動産売却より得た利益のことは、譲渡所得といいます。譲渡所得税は、譲渡所得にかかる税金です。
しかし、不動産売却をして売り上がった金額が、イコール譲渡所得ではありません。譲渡所得を算出するには、売り上がった総価格より、「不動産を取得する際にかかった費用」「不動産売却のためにかかった税金や諸経費」を差し引かなくてはいけません。
譲渡所得税の内訳は「所得税」と「住民税」です。
「所得税」の支払いは、売却を経た翌年の源泉徴収の期間である2月。「住民税」は6月に納税しなくてはいけません。
譲渡所得のみ納税のタイミングが少し遅くなるので、忘れずに支払いましょう。
また、譲渡所得税は売却する不動産を「どれほどの期間」所有していたのかによって、税率が異なります。
譲渡所得税は、不動産を長く所有するほど税率が低くなります。
所有期間が5年超のであれば「長期譲渡所得」となり、5年以下であれば「短期譲渡所得」となります。それぞれの譲渡所得税率は次の通りです。
「長期譲渡所得」の場合
課税譲渡所得金額 × 5%(住民税) =譲渡所得税額(住民税)
「短期譲渡所得」の場合
課税譲渡所得金額 × 9%(住民税) =譲渡所得税額(住民税)
所有期間は被相続人が取得したタイミングからカウントできます。ほとんどの場合に「長期譲渡所得」が反映されるでしょう。
相続不動産の売却で節税する方法
相続した不動産を売却するのであれば、相続してから3年以内がおすすめです。
相続してから3年以内に売却すると、譲渡所得から、対象の不動産の相続税を差し引くことができます。譲渡所得から相続税を差し引くと、譲渡所得税を大幅に下げることができます。
結果的に節税対策にもなるので、売却するなら3年以内と念頭においておきましょう。
相続した不動産の売却方法については、以下の記事でまとめていますので読んでみてくださいね。
相続不動産の売却にかかる税金以外の費用
相続した不動産を売却する際には、税金以外に、どのような費用がかかるのでしょうか。
不動産を相続して、売却をする際に必要になる、その他の費用について解説していきます。
仲介手数料
相続した不動産に限らず、不動産を売却した際には、不動産会社に仲介手数料を支払うことになります。
不動産売買は、動く金額が大きいこともあり、不動産会社による仲介が一般的です。
不動産会社に仲介業者として立ち会ってもらった場合には、成功報酬として仲介手数料が発生します。
不動産会社によっては値引きをしてくれる場合もあります。節約できるポイントなので、不動産会社選びのタイミングから「仲介手数料がいくらほどかかりそうか」把握しておきましょう。
なお、買取業者を利用した際は、手数料はかかりません。
ローンの返済
相続した不動産のローンの支払いが終わっていない場合には、ローンの返済も一緒に受け継がなくてはいけません。
基本的に、不動産売却をして得た利益を、税金やローンにあてれば完済できます。
しかし、もしもローンが売却利益を持ってしても賄えない場合には、任意売却や競売を検討する必要があります。
相続した不動産は売却するのがおすすめ!
不動産を相続した際、「思い出の家を売却するなんて!」、と思う方もいるかもしれません。
しかし、相続した不動産はなるべく売却してしまうことをおすすめします。
不動産売却は、相続したものかどうかに関係なく、納めることとなる税金が3つあります。
登録免許税、印紙税、譲渡所得税の3つです。
中には節税可能な税金もあります。外に出て行くお金を減らすためにも、節税対策を考えておくようにしましょう。
なるべく税金を少なくするためにも、不動産がどれくらいで売却できるかは把握しておく必要があります。
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