「抵当権の抹消には委任状が必須!銀行・司法書士の委任状の書き方、記入例まで解説します

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住宅ローンを完済したら抵当権の抹消を

抵当権とは、金融機関が不動産を担保にする権利のことです。金融機関で住宅ローンを組む際、購入する不動産を担保にしてお金を借りている状況になります。

抵当権の抹消は、住宅ローンの完済とともに行えるようになります。しかし、抵当権はローンの完済とともに自動的に消えるものではありません。登記簿上は残ったままになっていますので、抵当権抹消登記をし、残った抵当権をなくす作業が必要になります。

抵当権の抹消は義務ではありませんが、残ったままだと、その不動産の売却ができません。また、自身が新たに金融機関から融資をしてもらう際の障害になる可能性もあります。

抵当権の抹消には金融機関からの委任状が必要

抵当権抹消登記は、住宅ローンの完済とともに金融機関からもらえるさまざまな書類が必要です。必要書類の1つに金融機関からの委任状があります。

委任状とは?

委任状とは、自分が行うべき手続きを代理人に依頼したことを証明するための書状のことです。裏を返せば、申請しなければならない本人が手続きを行うのであれば、委任状を作成する必要はありません

抵当権抹消登記も、不動産の所有者本人が手続きするなら、委任状は不要なのではないかと思われるかもしれません。しかし、抵当権は債権者である金融機関が設定するものであり、金融機関と不動産の所有者(債務者)が共同で登記を申請しています。

このことから、抵当権登記を抹消するにあたっても、債権者・債務者双方の申請が必要となります。抵当権抹消登記で必要となる委任状は、自分のものではなく、金融機関が所有者に代理手続きを依頼するためのものなのです。

委任状のフォーマットは、住宅ローンの完済から10日前後で、他の必要書類とともに金融機関から送付されます

 

自分で抵当権の抹消を行う場合には委任状は1通

上記のとおり、抵当権抹消を自分で行う場合にも委任状は必要です。抵当権抹消登記は本来、抵当権者である金融機関と不動産の所有者が共同で申請するものとされています。それを所有者のみで行えるようにするために、金融機関からの委任状が必要となります。

そもそも抵当権とは、債務者によるローン返済が困難になったとき、対象となる不動産を競売にかけるなどして債権回収ができる権利のことです。抵当権を持っているのは債権者である金融機関であり、ローンを完済したからといって、債務者が勝手に債権者の権利を抹消することはできません。

そのため、金融機関が権利を手放す旨を記した委任状が必要なのです。

ちなみに、金融機関の委任状を持って、法務局で手続きするのは所有者本人である必要はありません家族や友人に代理で書類を提出してもらうことも可能で、その場合、家族や友人への委任状は不要です。これは「委任」ではなく、「代理」行為とみなされるためです。

加えて、自分で作成した抵当権抹消の登記申請書を、配偶者に依頼して法務局へ提出する場合、「受任者(事務処理の委託を受ける者)」欄に配偶者の氏名を記載する必要はありません。「申請人兼義務者代理人」の欄には、不動産所有者である自分の名前を記入すればOKです。

 

司法書士に依頼する場合には委任状は2通

司法書士に抵当権抹消登記を依頼する際には、金融機関からの委任状だけでなく、所有者から司法書士への委任状も必要です

なぜなら、金融機関から所有者に対して手続きを委任するのではなく、金融機関・所有者それぞれから司法書士に手続きを依頼する形になるからです。この場合は、所有者本人が手続きするケースと異なり、金融機関と所有者の間の直接的な委任関係は発生しません

所有者から司法書士への委任状は、事務所ごとにフォーマットが用意されているので、それに記入します。事務所のホームページでダウンロードできる場合もあります。

金融機関からもらう委任状は、代理人の名前を記入するところが空欄になっており、自分で手続きをする場合は自分の名前を記入します

司法書士へ依頼する場合は、それを空欄にしたまま司法書士に渡します空欄にした代理人名のところに司法書士の名前を記入してもらえば、フォーマットをそのまま利用可能です。司法書士へ依頼するからといって、金融機関から司法書士の名前入りの委任状を新たにもらうわけではありません

抵当権の抹消の委任状の書く際の注意点とルール

金融機関からもらう委任状に記入する際の注意点や確認しておく点について解説します。

まずは金融機関からもらった委任状に不備がないかチェック

金融機関から発行された委任状に不備がないとは限りません。委任状は委任する側(金融機関)を委任者、委任される側(自分)を受任者といいます。委任者側の記入欄に漏れがないかチェックしましょう。

委任日は、金融機関が埋めるのが一般的ですが、空欄の場合は自身が記入しても問題ありません。委任日には、住宅ローンの完済日を記入します。

委任日の欄以外に記入漏れがあれば、金融機関に問い合わせて、空欄を埋めたものを新たにもらう必要があります。

使用する印鑑は認印でOK シャチハタはNG

委任状には押印する箇所があります。印鑑は実印でも認印でも構いません。ただし、シャチハタは使用しないのが無難です。その理由は、シャチハタはゴム製の印面であるため、印影が変形してしまう可能性があるからです。法的な効力を持つ委任状に、シャチハタを使用すると、法務局で認めてもらえない恐れがあります。

 

抵当権抹消の手続きをする前に金融機関の代表者が変わっていないかチェック

住宅ローン完済から抵当権抹消登記までに期間が空いてしまったことなどが理由で、委任状にある金融機関の代表者が、手続きする際の代表者と変わってしまっていることがあります。この場合でも委任状の効力は失われませんが、代表者が変わっている旨は委任状に記載する必要があります。
金融機関の代表者が変更している場合、委任状には、以下のように追記してください。

・「義務者」欄に新しい代表者名を記載
・「添付情報」欄に「登記義務者の代表者〇〇〇〇の代表権限は消滅しているが、代表権限を有していた時期は平成(令和)〇年〇月〇日から令和〇年〇月〇日である」と記載

もちろん、委任状に自分で追記をせず、金融機関で新たに発行してもらうことも可能です。また、金融機関の名称が合併などで変更になっている場合も、新たに発行してもらうとよいでしょう。

しかし、再発行には時間がかかる点には留意してください。

委任状を紛失した場合は再発行を

委任状をなくした場合は、金融機関に事情を説明して再発行をしてもらう必要があります。委任状自体に期限はありませんが、抵当権の抹消までに期間が空くと紛失リスクが高まります。金融機関から必要書類が届いたら、なるべく早く抵当権抹消登記をするように心がけてください。

抵当権抹消の委任状の書き方

金融機関からもらう委任状は、書き方を間違えると手続きできないこともあるので、しっかりと把握しておきましょう。委任状の基本的な書き方を紹介していきます。

 

自分で抵当権抹消登記をする場合

金融機関から送られてくる委任状のフォーマットには、すでに金融機関側の住所や名称が記載されています。自分で抵当権抹消登記をする場合、代理人の欄に自分の住所と氏名を記載します。また、日付の記入箇所もあるので、住宅ローンの完済日を確認して記入しましょう

登記手続きの際は、この委任状のほか「抵当権抹消登記申請書」を作成し、本人確認書類、印鑑証明書、銀行から送られてくる必要書類などとともに持参し、管轄法務局へ申請を行います

自分で抵当権抹消登記をするときに用意しなければならない委任状は、金融機関から送られてくる1通のみです。

 

司法書士に依頼して抵当権抹消登記をする場合

司法書士に抵当権抹消の手続きを依頼する場合には、金融機関からの委任状に加えて司法書士への委任状も必要です。司法書士への委任状は相手からフォーマットをもらうなどして入手してください。

教えてもらった書き方どおりに記入し、署名捺印のうえ、司法書士事務所へ郵送すれば必要な手続きは完了です。

自宅を夫婦や親子など共有名義で所有している場合でも、委任状には、通常代表者一人の名前を記載すれば問題ありません。ただし、共有名義で、かつローンを組んだときから住所や氏名が変更になっているケースでは、「登記名義人住所・氏名変更登記」を行い、登記名簿に記載されている所有者の住所・氏名を現行のものに変更する必要があります。

この変更登記は抵当権抹消登記と同時に行えるものの、住所・氏名に変更のある共有者からの委任状の提出が求められます。よって、上記のケースに該当する場合は、変更項目のある共有者全員に委任状を準備してもらわなければなりません。

金融機関からの委任状の記入例

委任状

 

私共は、①東京都◯◯区◯◯町◯丁目◯ 登記 太郎を代理人として定め、下記の権限を委任いたします。

令和 ② ◯ ◯ 月 「抵当権解除証書」に記載の抵当権抹消登記申請に関する事項

 

 令和 ② ◯ 年 ◯ 月 ◯ 日                             

東京都◯◯区◯◯町◯丁目◯番◯号
◯◯銀行株式会社

上は、金融機関から送付される委任状フォーマットのサンプルです。記入が必要なのは以下の2点です。

①所有者(代理人として法務局へ申請しに行く方の住所、氏名)
②住宅ローンを完済した日付

司法書士に手続きを依頼する場合、①は空欄のまま、司法書士へ送りましょう。なお、抵当権抹消登記はオンライン申請が可能です。

ただし、金融機関の委任状に「登記識別情報の暗号化に関する件」の委任事項がないと、オンライン申請ができない決まりになっています。上記の項目が含まれていない場合、書面申請を行うか、金融機関に問い合わせる必要があります。

司法書士への委任状の記入例

委任状

 

  住所
氏名

 私は、上記の者を代理人として定め、下記の権限を委任いたします。

  1. 令和  年    月  日付登記原因証明情報に基づく抵当権抹消登記申請に関する一切の件
  2. 復代理人選任の件並びに必要に応じ原本還付請求受領の件並びに登記申請の取り下げ及び登録免許税の現金還付又は再使用証明の請求受領に関する一切の件
  3. 登記に係る登録免許税の還付金を受領すること


令和
① ◯

      委任者  (住所)②東京都〇〇区〇〇町◯丁目◯
           (氏名)登記 太郎            ③認印

司法書士への委任状は、特に書式が決まっていません。上はあくまでも一例ですが、記載すべき項目は主に次の3点です。

①委任状を記入した日付
②所有者本人の住所、氏名
③所有者本人の認印

委任状にはどのくらい費用がかかるのか?

金融機関の委任状、司法書士への委任状のどちらも作成自体は無料であり、印紙を貼る必要もありません。

ただ、司法書士へ抵当権抹消登記の申請手続きをすべて行ってもらう場合、委任状の作成代としてでなく、代行業務に対する報酬を支払う必要があります。報酬額の相場は1万5,000円〜2万円程度です。

登記内容が現在の住所や姓と異なる場合の手続き

先述のとおり、抵当権抹消登記を行う際、登記簿上の住所・氏名と委任状の現住所・氏名が異なる場合、登記簿に記載された住所・氏名を変更する「登記名義人住所・氏名変更登記」も行わなければなりません。

以下の必要書類と登記申請書を持参し、抵当権抹消登記の申請時に併せて手続きを行いましょう。

【住所変更が必要なときの必要書類】
・住民票または戸籍の附票
・地番変更証明書 など

【氏名変更が必要なときの必要書類】
・戸籍謄本(または戸籍抄本)
・住民票または戸籍の附票

 

自分で手続きしたいけど難しいと感じたら法務局の手続き案内を利用しよう

抵当権抹消登記は、比較的シンプルな手続きで完了できるものの、ほとんどの方にとって初めての作業となるので、難しいと感じる場合もあるでしょう。

法務局では登記に必要な情報や委任状の書き方について問い合わせができる「登記手続案内」というサービスを実施しています。窓口での対面、電話、Web会議システムの3つの方法で案内が受けられます。対面と電話の場合は、管轄法務局への直接問い合わせとなりますが、Web会議システムによる案内はWeb上での予約が可能です。

登記手続案内は完全予約制で、1回あたり20分となっています。まったくの準備をしていない中で、20分ですべてを完了させるのは困難ですので、あらかじめ準備をした上で疑問点だけを聞く、という使い方が基本になります。

この記事がで紹介した書き方や注意点、記入例を参考に、まずは自分でできるところまで委任状や必要書類の準備を進めてみましょう。

困ったときは、金融機関や司法書士に確認するのがおすすめです。それでもわからないことがあるなら、上記の法務局のサービスを利用してみてはいかがでしょうか。

参考:登記手続案内【法務局】
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page_000001_00050.html

すむたすマガジン編集部

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