中古マンションの売買契約をする前には、引き渡し時期の確認もしなければいけません。
物件によっては引き渡し時期が、売買契約から1年後という物件もあったりします。
1年も引き渡しが先だと、様々なリスクやデメリットを抱えることになってしまうかもしれません。
中古マンションの引き渡しまでの平均期間
売買契約を締結した中古マンションが空き家であり、抵当権も設定されていなければ即引き渡し可能ですが、そのような物件は多くありません。中古マンションの売買は、契約締結時に売主が居住していたり、抵当権が設定されていたりするケースがほとんどです。
売主が居住している場合は、売却後の住まいへ引っ越しする時間が必要です。
また、抵当権が設定されている場合は、抵当権解除の手続きをしなければいけません。
抵当権解除の手続きは、ローンを借りている金融機関に連絡してからおおよそ14営業日かかります。
その他、引き渡しが長くなる原因が買主側にあるケースも考えられます。たとえば、中古マンションの購入に際して住宅ローンを借りる場合です。
住宅ローンを借りるときには、売買契約後に住宅ローンの「本審査」を受けなければいけません。そして、本審査通過後に、金融機関と金銭消費貸借契約(お金を借りる契約のこと)を締結します。
この本審査から金銭消費貸借契約まで、おおよそ1ヶ月かかります。本審査や金銭消費貸借契約に時間がかかると、売主側の準備は万全であってもすぐにマンションの引き渡しを受けられないおそれがあるのです。
中古マンションの引き渡しが長くなる事例
中古マンションの引き渡しの平均は1.5~3ヶ月ですが、この平均期間より引き渡しが長くなるケースがあります。
平均期間より長くなるケースは複数ありますが、本章ではそのなかでもよくある3つの事例を紹介します。
・売却に許可が必要
・施設の入居に時間がかかる
売主の新居の完成に時間がかかる
売主が中古マンションから新築建物へ引っ越す場合、新築建物の完成時期によって引き渡しが長くなるケースもあります。
新築の完成に時間がかかればかかるほど、売主は対象の中古マンションに住み続けることとなりますので、その分引き渡しまでの期間も長くなります。
例えば、売主の新居完成時期が売買契約から1年後であれば、引き渡しも1年以上先になってしまいます。
売却に許可が必要
売却に許可が必要な場合とは、裁判所の許可がないとマンションを売却できない場合などです。
購入する中古マンションに差し押さえなどが入っている場合、差し押さえを解除してからしか引き渡しできません。差し押さえを解除するには裁判所の許可が必要であり、6ヶ月以上の時間がかかることもあります。
施設の入居に時間がかかる
売主が高齢の場合、中古マンションの売却後に老人ホームなどの施設に入ることもあります。
このような「施設への入居」にも、見学、契約、支払いなどのさまざまな手続きが必要であり、時間がかかってしまうおそれがあります。
たとえば老人ホームは、見学から入居決定まで2ヶ月前後かかることが一般的です。
また、手続きに時間がかかるだけでなく、なかなか希望の施設が見つからないケースも考えられます。売主が老人ホームに入ることを条件にした売買契約では、余裕を持って長めの引き渡し期間に設定することをおすすめします。
中古マンションの引き渡しが長いときによるリスク
引き渡しまでの期間が長いと様々なリスクが発生します。
本章では、引き渡しが長いときのリスクを紹介します。
失火などの被害
時間が経過すればするほど売主が失火したり、室内を汚したりする可能性が高まります。
引き渡しまで長い期間待った結果、火事で事故物件になったり、引き渡しを受けたら契約前より室内が汚くなっていたりするかもしれません。特に売買契約後は、売主の気が緩むケースもあるため、引き渡し期間が長くなった場合は注意が必要です。
手付金の使い込み
引き渡しまで時間がかかると、前もって買主から支払った手付金を、売主が使い込んでしまうということがまれにあります。
手付金は引き渡しまでの預り金なので、本来は使用してはいけません。
不動産売買に関連する費用を捻出するためであれば仕方がないこともありますが、まったく不動産売買に関係しないことで使い込まれてしまうケースがあります。
仮に売主が手付金を使い込んだとしても、引き渡しまで無事に進めばよいのですが、売主が契約違反を引き起こすなどの問題に発展するかもしれません。このようなケースでは、買主に対して違約金の支払どころか手付金の返還すらできなくなることもあり、場合によっては調停や裁判に発展することも考えられます。
調停や裁判に発展すれば、その分余計な手続きの手間や時間がかかったり、買主の精神状態に影響したりするため、注意が必要です。
売主の気が変わる
引き渡しまで長時間開いてしまうと、自身のライフサイクルの変化などにより、売却自体をストップしてほしいと言ってくる売主がいます。
たとえば、息子夫婦が実家に戻ってこないため自宅の売却を進めていたが、売買契約後に状況が変わり、息子夫婦が戻ってくることになった場合などです。売買契約をした後に話をひっくり返してくるケースはまれにあり、時間が経過するほどその危険性は高まります。
引き渡しまでの期間が長いときのリスク回避方法
引き渡しまでの期間が長いと、契約的にも不安定となる期間が延長し、上述のようなリスクも高まります。そこで本章では、引き渡しまでの期間が長い場合のリスクを回避する方法を2つに分けて解説します。
引き渡しまでの期間を売主に入念に確認する
一番にできることは、売買契約を締結する前に「引き渡しまでの期間を入念に確認する」ということです。
なぜなら売主のなかには、契約の内容について興味がない、またはしっかりと確認せず不動産業者に丸投げをするという方も一定数いるためです。
暫定の契約書が完成した段階で、引き渡し期日は本当に契約書の内容で問題がないかについて「家族や親族の状況」「売主自身の引越しに関するスケジュール」「老人ホームへの入居手続き」などを考慮したうえで再度確認してもらうようにお願いしてみましょう。
不動産売買契約の特約を活用する
不動産売買契約の特約も活用可能です。
特約とは、その売買契約のみで生じる特別な事情を考慮して、契約に盛り込む契約事項を指します。
特約を活用することで、引き渡し期日を定めたうえで、それまでに準備ができたのであれば速やかにマンションを引き渡すという義務を売主に課すことができます。
これにより、無駄なリードタイムが発生し、売主の気の緩みや状況の変化などによるリスクの回避につながるでしょう。
不動産売買契約の特約では、たとえば「引き渡し期日は売買契約後1年に設定するが、引き渡す準備ができれば速やかにマンションを引き渡すものとする」などの内容が定められます。
特約を活用した以下の例をみてみましょう。
売主がマンションを売却後に新居に引っ越す日は、売買契約締結の1年後を予定しています。そして実際は、建築工事開始後10ヶ月で完成し、引っ越せる状態になったとします。
この場合、契約上引き渡しは1年後と設定しているため、新居はすでに完成していても、旧居(マンション)の引き渡し期日である1年後までの3ヶ月間のどこかで引っ越しをすればよいことになってしまいます。この余裕ができた3ヶ月間を短縮させるために、上記のように「期限に達していなくても売却が完了すれば速やかに物件を引き渡す」という特約を売買契約書に盛り込むのです。この特約が入っていれば、建物が完成して引っ越しできるタイミングで売主は新居にすみやかに引っ越しをしなければなりません。このように少しでも引き渡し期日の短縮を図ることで、引き渡しリスクの回避につながります。
すぐに引っ越したい場合の物件の選び方
転勤などですぐに引っ越ししたいという場合には、すぐに引っ越しできる物件を探さなければいけません。その場合の物件の選び方を解説します。
空き家のマンションを探す
空き家のマンションはすぐに引っ越しできる可能性が高い傾向にあります。
売主の引っ越しには時間がかからず、抵当権抹消期間も短縮されるためです。
空き家になっている場合、長くても抵当権抹消期間は約2週間が一般的です。
業者が売主のマンションを探す
マンションの売主が不動産会社の場合は、ほとんどのケースで即時引き渡しができます。
そのため、すぐに引っ越しをしたい場合はできる限り、不動産業者売主のマンションを探しましょう。
仮に抵当権が付いているマンションだとしても、業者売主の場合は根抵当権ですぐに抹消できます。
まとめ
住み替えで最も難しいポイントが、売却と購入のタイミングを合わせることです。
一般的なマンションの売却活動は、「いつ、どれくらいの価格で売れるか」が分からない状態が続くため、住み替えのスケジュールが立てづらく、気に入った物件を買い逃したり、経済的な負担が大きくなりやすいという問題があります。
また、物件の引き渡しが長くなると引き渡しリスクが大きくなるため、引き渡しまでの期間が長い物件は避け、引き渡しまでの期間が短い買取物件を選択するとよいでしょう。
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すむたす売却の住み替えサポートには、以下のような特徴があります。
最大の特徴は、旧居の引き渡し日をお客様が自由に設定できるため、新居の入居日と合わせることが可能であるという点です。また、新居探しと購入のサポートも提供しているため、不動産業者とのやりとりを一本化することができる点も、大きな魅力ではないでしょうか。
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