定期借地権付きのマンションは売れない?売却するための3つのコツを解説

マンション売却

住める期間が限られている定期借地権付きのマンションを売るには、メリット・デメリットを把握し、適切なターゲット設定や訴求を考えることが大切です。定期借地権付きのマンションがなかなか売れない理由や、売却のコツについて解説します。

すむたす売却

定期借地権とは

定期借地権の仕組み

定期借地権とは、一定期間だけ土地を賃貸借する権利のことです。所有者から借りた土地に、借主は建物を建てて使うことができますが、契約期間が満了したら更地にして土地を返さなくてはなりません。

定期借地権には、次の3種類があります。

契約期間

備考

一般定期借地権50年以上契約期間が長い
事業用定期借地権10年以上50年未満事業用の建物を建てられる
建物譲渡特約付き借地権30年以上更地にせず、建物は地主が買い取る前提

定期借地権付きのマンションには、「一般定期借地権」が適用されています。契約期間は50~70年であることが多く、この期間が満了すると、そのマンションは解体されることとなります。

一般的なマンションとの違い

定期借地権付きマンションの特徴

一般的なマンションと定期借地権付きのマンションには、次のような違いがあります。

定期借地権付きのマンションは成約価格が安く、土地分の固定資産税がかからないのがメリットです。ただ、地代や解体準備金がかかること、自由に売却や増改築できないといったデメリットもあります。

定期借地権付きマンションのメリット

定期借地権付きのマンションには、一般的なマンションより安く購入できること以外にも、いくつかメリットがあります。売却活動をスムーズに進めるためにも、メリットを知り、アピールできるようにしておきましょう。

  • 安く購入できる
  • 立地が良いことが多い
  • デザイン性が高いことが多い

安く購入できる

定期借地権付きのマンションは、一般的なマンションと比べて7~8割ほどの価格で購入できることが多いです。売主にしてみれば「高く売れない」というデメリットかもしれませんが、買主にとってはメリットです。相場よりも安く買えることをアピールしましょう。土地分の固定資産税がかからないのも魅力的です。

立地が良いことが多い

定期借地権の設定された土地は国や自治体、神社仏閣などが所有していることも多く、これらの土地を普通の方法で購入するのは難しいです。このような土地は立地がいいことも多く、買主にとって魅力的でしょう。

不動産購入で多くの人が重視するのは、「価格」と「最寄り駅からの距離」だといわれています。物件にもよりますが、定期借地権付きマンションはこの2つの重要ポイントを高い基準で満たしていることが多いです。駅からの距離だけでなく、周辺のバス停やお店についても把握し、「暮らしやすさ」をアピールしましょう。

デザイン性が高いことが多い

定期借地権付きマンションは立地が良いうえに、その土地に合った、高いデザイン性の物件も多いです。広告に載せる写真を撮るとき、デザイン性の高さを活かせれば、売却成立も早くなるでしょう。

マンションがいちばんきれいに見えるアングルを探すこと、よく晴れた日の明るい時間帯に撮影すること、内見は「室内が最もきれいに見える時間帯」に設定することなど、工夫できるポイントはたくさんあります。

定期借地権付きマンションを売却する際の注意点

定期借地権付きのマンションには、「ずっと住めるわけではない」「最終的には更地に戻さなければならない」といったマイナスイメージもあります。売却価格は安くなりますし、売却に許可が必要になることもあります。

このような、定期借地権付きマンションならではの「売却時の注意点」を把握しておくことは、売却活動をスムーズに進めるうえで重要です。定期借地権付きマンションを売却する際の注意点を、3つ紹介します。

売却価格は安くなる

定期借地権付きマンションの売却価格は、一般的なマンションよりも2~3割ほど安くなることが多いです。買主にとってはメリットですが、売主にとってはデメリットでしょう。

REINSのデータから、一般的なマンションと定期借地権付きマンションの成約価格(東京23区・㎡単価)を比べてみると、築年数ごとに次のような差があることがわかります。

一般的なマンション定期借地権付きマンション
築11~20年285万円287万円
築21~30年240万円207万円
築31~40年197万円152万円
築41~50年179万円171万円

比較すると、築11~20年の比較的新しい物件では定期借地権マンションがわずかに高く、築21年~40年の物件は物件では大幅に安くなっていることが分かります。

定期借地権付きマンションは、築年数が長くなるほど、契約の残存期間も少なくなっていきます。ただ、マンションは築年数が古くなるほど価値が下がっていきますから、一般的なマンションも築41年以降はかなり安くなり、結果的に定期借地権付きマンションとの差額が小さくなるのでしょう。

買主も「残り10年くらいしか住めない」とわかったうえで購入します。「つなぎの住まい」のようなつもりで買うなら、定期借地権付きマンションでも問題ないのかもしれません。これを踏まえ、相場よりも低めに価格設定をすると、残存期間の少ない定期借地権付きマンションも売れやすくなるでしょう。

売却には地主の許可が必要

定期借地権付きマンションを売るには、地主の許可が必要になることもあります。まずは、次の2つの「土地の権利形態」について理解しておきましょう。

  • 地上権他人の土地を使う権利で、地主の許可なく売却したり増改築したりできる権利。
  • 貸借権→他人から土地を借り、そこに自己所有の建物を建てる権利。売却や増改築はできるが、地主の許可が必要なことも。

2つの権利形態のうち、「貸借権」が設定されている場合に、地主の許可が必要になることもあります。許可が得られても、「承諾料」の支払いが必要になることもあり、これは売主負担です。

地主からの許可が得られなかった場合でも、裁判所に申し立てを行い、裁判所からの許可を得ることで売却できることもあります。

定期借地権マンションが売りにくい理由

定期借地権付きマンションは、一般的なマンションと比べて売りづらいかもしれません。実際、昔は「買ってもずっと住めるわけではない」「いずれは土地を返さなくてはならない」といったマイナスイメージが強く、物件数もあまり増えませんでした。

ただ、近年では、特に都心部では土地不足が深刻になってきました。これを解決する一手として、国や自治体、神社仏閣の所有する土地に定期借地権を設定し、マンションを建てることが増え、定期借地権付きのマンションも注目を集めるようになったのです。

定期借地権付きのマンションが売りにくい理由を4つ紹介します。

ランニングコストが高い

定期借地権付きマンションは、一般的なマンションと比べてランニングコストが高いです。土地分の固定資産税こそかからないものの、代わりに地代と解体準備金の支払いがあり、これらは固定資産税よりも高くなることが多いです。どちらの費用も値上がりするリスクがあるのも、買主にとっては気になるでしょう。

永住はできない

定期借地権付きのマンションには永住できません。契約期間は一般的に50~70年であり、新築で買うならあまり気にならないかもしれませんが、ある程度築年数が経過しているとなると話は別です。

例えば、契約期間が50年の定期借地権付きマンションを、築30年で買うとなると、住める期間は残り0年です。終の棲家となる物件を探している人にとっては短く、売主にとってはターゲットが限られることとなります。

資産価値が低くなりやすい

定期借地権付きマンションは、「土地を所有していない」「住める期間が決まっている」という理由から、一般的なマンションと比べて資産価値が低いです。時間が経つほど住める期間も短くなっていきますから、資産価値の下がり幅も大きいです。

買主が将来的に売却も視野に入れている場合、資産価値が低くなりやすい物件は避けたいと感じるでしょう。

住宅ローンが組みにくい

定期借地権付きマンションは資産価値が低いため、住宅ローンも組みにくいです。住宅ローンは、購入する物件を担保として審査を行うため、物件の資産価値が低いと審査にも通りづらくなります。購入希望者が見つかっても、住宅ローンの審査に通らなければ、新しく買主を探さなければなりません。

定期借地権付きのマンションを売却するコツ

定期借地権付きのマンションは、一般的なマンションと比べて売却に苦戦する可能性があります。定期借地権付きのマンションならではの「売却のコツ」を押さえ、早期売却を目指しましょう。

なるべく早期に売却する

定期借地権付きのマンションを売ろうと考えているなら、早めに売却活動を始めることをおすすめします。売却時期が遅れるほど、そのマンションに住める期間は短くなっていき、購入希望者も見つかりづらくなっていくでしょう。

特に、「築30年」や「築40年」という節目を超えると、購入希望者からはさらに敬遠される要素になりうるため、それより手前に時期することで少しでも高く売れる可能性があります。

ターゲットを絞る

定期借地権付きのマンションには、「ずっと住めるわけではない」「ランニングコストが割高」といった負の側面もあります。これらのデメリットをあまり気にしない層に、ターゲットを絞りましょう。例えば次のような人に、定期借地権付きマンションは向いています。

  • マンション購入の初期費用を抑えたい人
  • 子供に家を相続するつもりがない人
  • 一定期間だけ好立地に住みたい人

定期借地権の仕組みを丁寧に伝える

定期借地権の仕組みを丁寧に伝えることも、売却活動では重要です。定期借地権付きの物件は数が少なく「定期借地権」という言葉を知っている人もあまりいません。不動産会社の営業担当ですら、定期借地権についてきちんと理解できていない人はいるでしょう。

売却活動を任せる不動産会社には、定期借地権について詳しい会社、実績が豊富な会社を選びましょう。解体準備金や地代、売却や増改築時に許可が必要かどうかなど、担当者や購入希望者にわかりやすく伝えられることが大切です。重要事項説明書や管理規約などの資料をそろえ、伝え漏れがないようにしましょう。

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