役職:不動産売却コンサルタント
経歴:立教大学卒。三井不動産リアリティに新卒入社、2019年に株式会社すむたすに参画。
保有資格:宅地建物取引士
マンションが思うように売れないと、焦りを感じてしまいますよね。
しかし、マンション売却に焦りは禁物です。不本意な価格で売ってしまったり、アピールの仕方を間違えて売却活動がさらに長期化してしまうこともあります。
記事を最後まで読み進めていただければ、マンションが売れない理由を理解でき、古いマンションでもスムーズに売却できることでしょう。
マンションの一般的な売却期間
2017年に「株式会社東京カンテイ」が発表したデータによると、「1年以内に、100%のマンションが売れる」という結果が出ています(首都圏に限られたデータであり、売却を取り消している物件については除外されています)。
こちらが期間ごとに分けた売却率の調査結果です。
参考:株式会社東京カンテイ
※リンク先はPDFページのため、多めの通信量がかかります
このデータによれば、約9割のマンションは7か月以内に売れていることになります。
また、なかなか売れないマンションというのは時間が経つにつれ、その売却難易度も高まってしまいます。売却を担当する不動産業者の観点から見ても、古い物件よりも新規の物件を優先的にアピールするため、早めに売却できるように頑張っていきましょう!
以下では、マンションが売れない8つの理由とその対策について紹介します。
マンションが売れない8つの原因と対策
マンションがなかなか売れない際に考えられる原因は以下の8つが挙げられます。
①売り出し価格が適切ではない ⑤室内が汚い
②近隣に競合物件が多い ⑥人気のない間取りである
③エリアに人気がない ⑦内覧対応が疎かになっている
④築年数が古い ⑧不動産会社が売却活動を怠っている
原因1|売り出し価格が適切ではない
当然かもしれませんが、マンションは価格が安いほど売れやすく、高いほど売れにくくなります。
また、マンションの購入者にとって家を買うということは一世一代の買い物でもあるため、普段よりも格段に慎重になり、物件が高価格であると中々購入に踏み切れません。
中には、売却によって多くの利益を出すために、最初はあえて高値に設定し、徐々に値下げをするという戦略を取っているケースもあります。しかし、売却期間が長引いてしまうと、買い手から「何か売れない原因があるのかもしれない」というレッテルを張られてしまい、ますます売れにくくなるという傾向があります。そのため、徐々に価格を引き下げる戦略だとしても、あくまで適切な範囲で価格を設定するべきでしょう。
具体的な目安としては、売り出してから3カ月経っても問い合わせがない場合は、価格の見直しを検討しましょう。
対策|適性価格を知り、価格を見直す
まずはマンションの適性な価格を調べてみましょう。その際は、一括査定サイトを利用することで、複数社の査定結果を比較することができ、おおよそ適性な価格を把握することができます。より現実的に売れそうな価格を知りたい場合は、実際に専門家が物件を訪問し、より細かい項目をもとに査定を行う「訪問査定」を受けることが有効です。
もし、現在の価格設定が適性価格を大きく上回っているようであれば、潔く値下げを検討しましょう。しかし、そこまで値段が離れていないようであれば、安易に値下げするのではなく、他に売れない要因がないか検証するべきでしょう。
売り出し価格の設定の仕方についてお困りの方は、ぜひこちら記事を参考に設定してみてください!
原因2|近隣に競合物件が多い
近隣に売り出し中の物件が多い場合は、買い手からの需要が分散してしまうため、マンションは売れにくくなります。
例えば、同じマンション内で売却物件が存在する場合はよく注意しなければなりません。自分が売却しようとしている部屋よりもハイクオリティであるのにも関わらず、売り出し価格が低いということがあれば、中々売れないというのも納得ができます。
対策|売り出し時期をづらす
競合物件との価格競争を避けるためには、マンションの売り出しが少ない時期に売却活動を開始することをおすすめします。
例えば、新生活の準備が始まる2月~4月は売り出し物件が増える傾向があるため、そのような時期を避け、12~1月など早めに売却活動を始めれば希望通りの価格で売れる可能性が高くなります。
また、同じマンション内で売却物件があるかどうかを認知するには、大家さんに聞くのが一番手取り早いでしょう。他にも物件のサイトから自分と同じマンションを検索してみたり、ご近所さんに聞き込みを行うなどして、自分自身が不利な立場で戦い続けることがないようにしましょう。
マンションの適切な売却時期についてはぜひこちら記事を参考にしてみてください!売れるための6つのポイントも使いながら早期売却を目指しましょう!
原因3|立地が良くない
マンションを購入する場合は、長期間の居住が目的である場合が多いため、買い手は住みやすい環境にこだわる傾向があります。
例えば、「最寄り駅まで徒歩15分以上かかる」「市街地に出るための公共交通機関が近くにない」といった物件だと、購入希望者が現れにくいでしょう。また「日当たりや風通しが悪い」「傾斜地」「騒音が激しい」なども買い手から敬遠される要素になります。
対策|広報活動を工夫する
立地が良くないマンションは、「駅から遠い」「線路が近くて騒音がある」といったネガティブなイメージが目立ってしまうため、それを緩和するような魅力的な情報を発信することをおすすめします。
具体的には、買い手の目に直接触れる機会が多い「SUUMO」などのポータルサイトに掲載される、画像や紹介文に工夫を施してしましょう。
例えば、「近くにスーパーが多く、買い物に困らない」「公園があり自然が豊富」など、アピールできそうな点があれば、記載するようにしましょう。また、写真は物件の魅力をダイレクトに伝えてくれるので、外観や内装がよく見える状態を作ってから撮影し、画質にもこだわると良いでしょう。
原因4|築年数が古い
築年数が古い物件は、外観や内装が汚かったり、設備が老朽化して使いづらい場合が多いです。また、大規模な修繕が必要な場合は、月々の修繕費が高くなったり、将来的に資産価値がさらに下落するリスクがあります。
特に築年数が30〜40年を超えているような物件は、買い手がなかなか現れないかもしれません。
対策|リフォームを検討する
内装や設備の老朽化が進んでおり、そのままでは買い手が付かない場合は、リフォームを検討するのも一つの手です。しかし、物件すべてをリフォームしてしまうと、費用が高くつく上、かかった費用を回収できるほど高く売却できる保証もないため、結果的に損をしてしまう可能性があります。そのため、特に直しておきたい部分だけをリフォームすることをおすすめします。
また、「追加で費用をかけたくない」「早く売却したい」という方は、後ほど紹介する買取サービスの利用も検討してみましょう。
築年数が古いマンション(30〜40年)を売却するための対策は、こちらの記事でも詳しく解説していますのでぜひ参考にしてみてください。
原因5|人気のない間取りである
マンションには、「売れにくい間取り」というものが存在します。
また、間取り以外にも物件の階数も人気が分かれる要素です。例えば、防犯上の不安が残る1階や2階など低層階の物件は敬遠されてしまうため、買い手の母数が少なくなってしまいます。
対策|ターゲットを絞って訴求する
上述したような物件は、マンション購買層のボリュームゾーンには受けが悪いかもしれませんが、特定のターゲットには響く可能性があります。
例えば、1LDKは独身者や子供のいない夫婦に、4LDKは居住空間とは別に仕事部屋や趣味の部屋を持ちたい子持ちの夫婦をターゲットにすることができます。また、1階や2階といった低層階は移動が楽で、災害時の避難にも時間がかからないため、ご高齢の方からの需要が高いと考えられます。
このように特定のターゲットに絞って訴求ポイントを練ることで、売却に繋がりやすくなるでしょう。間取り別の対策については以下の記事もご参照ください。
原因6|室内が汚い
室内が汚いことも、売れにくいマンションの特徴の一つです。
しかし、部屋の写真や間取り図を見て興味を持ったのに、「実際に内見に行ったら部屋が汚かった」という状況では、購買意欲が下がってしまいます。
対策|内覧前の掃除を徹底する
購入希望者の心理を後押しするためには、部屋の掃除を徹底し、綺麗に見える状態をつくっておくことが大切です。
特に、「玄関」「水回り」「ベランダ」の3箇所は目につきやすい部分であるため、重点的に掃除することが大切です。
「掃除にかける時間がない」「掃除が苦手である」という方は、業者にハウスクリーニングを依頼することもおすすめです。
また、ホームインスペクションを実施するのも一つの方法です。ホームインスペクションとは、住宅の設計と施工に詳しい専門家が、中古物件の購入検討者が気になる「住宅の劣化状況や欠陥の有無」を診断するサービスです。
ホームインスペクションを実施し、第三者の正式な調査を通過することで、物件への信頼を増すことができるでしょう。
原因7|内覧対応が疎かになっている
物件の内覧時には、部屋の状況だけでなく売主の対応も見られており、これが原因で購入希望者が離れてしまうこともあります。
例えば、対応が不愛想だったり、聞かれた質問に対して十分に答えない場合は悪印象を与えてしまいます。また物件を売却する理由や、住んでいる人にしか分からない物件の問題などを隠してしまうと不信感を醸成してしまいます。
対策|内覧者の疑問に誠意をもって応える
実際の内覧では、不動産会社の担当者が同伴することになるため、物件の案内に際して売主がでしゃばる必要はありませんが、聞かれたことに対しては過不足なく答えることを意識してみましょう。
内覧対応に不安がある方は、事前に物件のパンフレットを用意したり、質問リストを作成しておくことで、落ち着いて物件の魅力を伝えきることができるはずです。
内覧対応について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
原因8|不動産会社が売却活動を怠っている
マンションがなかなか売れないが、物件や売主側に問題が見つからない場合は、不動産会社が売却活動を怠っていないか疑ってみましょう。
健全な不動産会社であれば、売主から依頼された物件情報を「レインズ」や「SUUMO」などのポータルサイトに登録したり、チラシを使った広報活動を行い、早期売却を目指します。
しかし、中には自社の利益を上げるため高く売れやすい物件を優先的に対応し、他の物件の売却活動に対して消極的な不動産会社も存在します。
こうすることで不動産会社は、売り手と買い手の両方から仲介手数料をもらうことができますが、売主側は売却活動が長期化し、最悪の場合、大幅な値下げを要求されることもあります。
囲い込みについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
対策|不動産会社の変更を検討する
不動産会社が売却活動を怠っている疑いがある場合は、不動産会社の変更を検討しましょう。
媒介契約の期間は3か月間であるため、更新しなければ自動的に契約関係を解消できます。また、契約期間中であっても不動産会社側に非があることが明らかな場合は、一方的に契約を打ち切ることもできます。
また、不動産会社ではなく、単に担当者が実力不足である場合は、会社側にかけあえば担当者を変更してもらえるはずです。この際、担当者に直接伝えてしまうと心象が悪いので、できれば上司など間接的に伝えることをおすすめします。
不動産会社や担当者の変更方法については、こちらの記事をご参照ください。
マンションがどうしても売れない場合の対処法
以上が売れない8つの原因と対策でした。お伝えしてきた通り、なかなか売れないマンションでも、原因を突き止めてしっかり対策を行えば、買い手を見つけやすくすることができます。
①売り出し価格が適切ではない → 適正価格の把握と必要なら価格の再設定
②近隣に競合物件が多い → 売り出し時期をずらす
③エリアに人気がない → ポータルサイトを参考に工夫を施す
④築年数が古い → リフォームを検討する
⑤室内が汚い → 内覧前の掃除を徹底する
⑥人気のない間取りである → ターゲットを絞って訴求する
⑦内覧対応が疎かになっている → 過不足なく伝え、積極的にアピールする
⑧不動産会社が売却活動を怠っている → 不動産会社の変更をする
しかし、そのような対策を行っても買い手がつかず、「大幅な値下げを余儀なくされている」という方もいらっしゃるでしょう。
そんなときの対処法の1つに、「マンション買取」があります。
マンション買取は、通常の不動産会社による仲介を通した個人への売却とは違い、買取業者が直接物件を買い取りします。そのため以下のようなメリットがあります。
通常の不動産売却と比較すると「売却価格が8割~9割程度になってしまう」というデメリットがありますが、長期間物件が売れず、価格よりも早くマンションを売ることを優先したい方にとっては、特におすすめできる売却方法です。
マンション買取と仲介の違いやメリットとデメリットの詳しい説明については、こちらの記事で詳細解説していますので、ぜひご覧ください。
マンションが売れない際に良くある疑問
所有しているマンションが売れない時に生じやすい以下の4つの疑問点について解説していきます。
- 売れないマンションを放棄することは可能なのか?
- マンションが売れず、ダブルローンの場合はどうなるのか?
- 管理費が高いマンションは売れないのか?
- マンションが売れない場合、賃貸に出すべきなのか?
マンションを放棄することは可能なのか?
結論から言うと、売れないマンションを放棄することは、基本的に不可能です。
そのため、マンションを売りたいけど、売れない場合は上記で説明してきたことを改善したり、マンションの売却を検討したりすることが必要になってきます。
マンションの放棄について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
売れないマンションがダブルローンの場合
マンション住み替え時にダブルローンを利用する場合、気に入った物件を先に抑えることができ、また空室状態で物件を売りに出すことができるので、内覧時の手間を大きく省くことができます。
しかし、ダブルローンで先に引っ越しを済ませた後に、「旧居がなかなか売れない」となった場合はどうでしょうか?旧居が売れない期間は、ローンだけでなく、管理費や修繕費も2重で発生するので、経済的な負担が増加してしまいます。
このような負担を避けつつも、気に入った物件を買い逃したくないという方は、買取や買取保証サービスの利用がおすすめです。
買取による売却では、売主の好きなタイミングで物件を引き渡せるので、新居の引っ越しと引き渡しを同じ日付に調整することができます。こうすることで、住み替えの手間やリスクを大きく削減することが可能になります。
ダブルローンの場合には他にもいくつか注意点があります。下記の記事でダブルローンや住み替えでマンションが売れない場合について詳しく解説しているので一読していただけると幸いです。
管理費が高額なマンションの場合
管理費や修繕積立金などの、物件のランニングコストが高額な物件は、他の競合物件と比較され、購入候補から外れてしまう場合があります。
ランニングコストは売主が決めることができないので、売却価格を少し下げ、その代わりに、物権のスペックや周辺環境の良さなどをアピールしていくことが重要です。
ランニングコストが少し高額な理由をきちんと説明し、買い主側に納得してもらうことができれば、マンションを売却できるでしょう。
マンションの修繕積立金について詳しく知りたい方はこちらの記事もおすすめです。
マンションが売れない場合、賃貸に出すべきなのか?
マンションの売却がなかなか進まない時、賃貸に出した方がいいのか迷うこともあると思います。
一概にどちらの方がいいとは言い切れないのですが、「将来また住む予定があるのか」、「住宅ローンの返済が終わっているのか」の二点で考えると良いでしょう。
今後住む予定があり、ローンの返済が終わってない場合は、賃貸に出すのも一つの方法になります。
こちらの記事では主に持ち家の売却、賃貸の二つについてメリットとデメリットを解説しているのでぜひご参照ください。
自分のマンションの価値を知ることが重要
どんな形式でも、マンション売却を成立させるためには、マンションの価値を知っておかなければなりません。適正価格はもちろん、どれほど需要があるのかを、エリア単位で把握できていれば、価格設定に役立てることができます。また、事前にマンションの価値が分かっていれば、なかなか売れない場合でも、その原因に予想をつけることもできます。
マンションの売却活動をもっとスムーズに行いたいという方におすすめなのが、「すむたす売却」です。すむたす売却は、マンションの売却をトータルでサポートしており、特に住み替えをご希望された方から高い評価を頂いております。また、すむたすの査定では膨大なデータを活用したAIと、専門家の知識を基に、適正価格を算出し、実際の売却価格に限りなく近い査定価格を導き出せます。
すむたす売却の住み替えサポートには、以下のような特徴があります。
査定価格が気に入ったら、好きなタイミング(最短2日~)で売却するすることも可能です。そのため「とにかく早く売りたい!」「引っ越しのタイミングに合わせて売却したい」という方にぴったりです。
「売却活動の手間を最小限に抑えたい」「うまく進める自信がないから、頼れる相談相手が欲しい」という方、まずは下記のリンクより無料のオンライン査定をお申し込みください!電話番号の入力は必要ないため、お気軽にお試しいただけます。
また、マンションの買取査定については以下の記事でも詳しく解説していますので、査定について検討されている方は是非ご覧ください。