買い替え特約とは?メリットとデメリットを完全解説

住み替え

【この記事で分かること】

  • 買い替え特約とはなにか
  • 買い替え特約を応じてもらえなかった時の対処法
すむたす売却
マンション売却ならすむたすのAI査定

買い替え特約とは

「買い替え特約」とは、自宅を買い替える際に先に新居をキープしておきたい場合に、買主と売主の間で交わされる約束事を指します。

具体的には、「所有物件(旧居)があらかじめ決めておいた日付(*)までに一定の金額以上で売却できなかった場合に、新居の購入契約を白紙にできる」というものです。

旧居が売れるまでの期限は、売主と買主が合意すれば自由に定められますが「新居の引き渡しから2〜3ヶ月後」に定められるケースが一般的です。

この場合、新居の売買契約は「一定の日付(※)までに一定の金額以上での旧居の売却」という事実が発生して初めて成立するため「停止条件付契約」ともいわれます。

買い替え特約を結んでおくことで、買主が旧居の売却に失敗した場合でも、違約金を払うことなく新居の購入契約を解消することができます。また一般的には、契約時に前金として支払っている手付金も全額無利息で返金されます。

「良い新居物件が見つかったが、無事旧居が売れて購入資金を用意できるかわからない」という不安がある人でも、安心して買い替えを行うことを可能にする契約だと言えます。

買い替え特約の仕組み

買い替え特約は買主にとってのメリットが大きい一方で、売主は「物件が本当に売れるかわからない」という不安定な立場に立たされるということも事実です。

締結には買主・売主・媒介業者含めて十分に話し合った上で定める必要があることを覚えておきましょう。

買い替え特約のメリット・デメリット

買い替え特約にはどのようなメリットやデメリットがあるのか、それぞれ解説していきます。

買い替え特約のメリットとデメリット

買い替え特約のメリット:時間をかけて売却活動ができる

新居の購入時に買い替え特約を利用することで、気に入った物件をキープしつつ、じっくりと売却活動に取り組むことができます。

住み替え時にどうしても気になる物件がある場合は、先に新居を購入してから元の家を売却する「買い先行」で住み替えを行うのが一般的です。

しかし買い先行の場合、住宅ローンを二重で返済(ダブルローン)しなければならない期間が生じたり、マンションの場合は管理費や修繕費の支払いを行う必要があったりなど、費用負担が大きくなる傾向があります。

また、住んでいる物件がいくらで売れるか確定していない状況で、新居を購入することになるため、資金計画が立てづらいというリスクもあります。

このような理由から「買い先行」の住み替えは、ある程度資金に余裕のある方でないと難しいです。

しかし買い替え特約を活用すれば、費用の心配をせずに気に入った物件を確保できるため、住んでいる家の売却にじっくりと時間をかけることが可能になります。まさに「売り先行」と「買い先行」のいいとこどりができる契約と言えるでしょう。

買い替え特約のデメリット:承諾してくれる売主が少ない

買い替え特約の最大のデメリットは、特約を承諾してくれる売主が少ないことです。

ここまで説明してきた通り、買い替え特約は買主にとってはメリットが大きい契約です。

しかし、売主側からすると、買主の都合で購入契約が白紙に戻るリスクを抱えることになりますそのため、積極的に承諾してくれる売主は少ないと考えておきましょう。

買い替え特約の了承を得るためには

では、売主にとってリスクが大きい買い替え特約を、売主に了承してもらうためには、どうすればよいのでしょうか?

結論からお伝えすると、不動産会社媒介契約の種類が非常に重要です。
新居購入と元の家の売却は同じ不動産会社に仲介を依頼し、かつ専属専任媒介契約または専任媒介契約を締結するのが望ましいです。

なぜなら、買い替え特約を了承する可能性が高い売主を見つけ、交渉を成功させるには、不動産会社の全面的な協力が必要だからです。

不動産会社は、売買成立時の成功報酬である仲介手数料から利益を得ています。
不動産会社にとっては、専属専任媒介契約や専任媒介契約は仲介手数料を得られる可能性が高い契約です。そのため購入と売却の両方で締結することで、「特別な顧客」になることができ、不動産会社の協力を最大限引き出すことができます。

一方で、専属専任媒介契約や専任媒介契約は、1社としか締結することができないため、不動産会社選びが重要です。
特に専属専任媒介契約は、自身で買主(買取会社を含む)を見つけることができないため、慎重に検討することをオススメします。

媒介契約について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。

買い替え特約が承諾されやすいケース

買い替え特約を避けたい売主は多いため、承諾してもらうのはなかなか大変でしょう。

しかし、売主が売却活動に苦戦している場合は、買い替え特約を承諾してもらいやすい傾向があります。

長い間売却活動を行っているのに、なかなか家が売れないでいると、誰しも焦りを感じるものです。このような売主は「早く物件を売却したい」という気持ちが強いため、買い替え特約を承諾してくれる可能性が高いです。

とはいえ、買い替え特約をいきなり打診してしまうと売主を驚かせる可能性があります。どれほどの期間売却に出しているのかチェックをし、不動産会社と相談をしてから、打診してみましょう。

買い替え特約の文言の注意点

買い替え特約を設定する際は、契約書の「文言」まで細かく確認することが重要です。

もし、曖昧な部分が存在するにも関わらず契約を締結してしまうと、認識していない違約金を請求されるなど、リスクに気付けないおそれがあるためです。

契約締結の前に、宅建士による重要説明事項は行われますが、ご自身でも以下の内容が明確に記載されているか注意して確認しましょう。

  • 売却、解約の期限
  • 買主の解除権行使時における売主の義務の内容
  • 買主の解除権行使時における買主の義務の内容

上記の項目が含まれた買い替え特約の文言例を、それぞれみていきましょう。

※文言例は:不動産契約における 特約・容認事項の必要性について (売買・賃貸)|東京都宅建共同組合より引用

1. 買主は、買主のうち○○氏が所有する○○市○○所在の土地建物(以下「買替物件」という。)の売却代金をもって本物件を購入するものとする。そのため、買主は、平成○年○月○日までに買替物件が金○○万円以上で売却する契約が締結できなかったとき、またその売買代金が平成○年○月○日までに受領できなかったときには、本物件の所有権移転の時期までであればこの契約を解除できるものとする。

2.前項によってこの契約が解除された場合、売主は受領済みの金員全額無利息で買主に返還するものとする。 

3.第2項による解除の場合、第14条(手付解除)および第16条(契約違反による解除)の規定は適用されないものとする。

 4.買主は、本契約に関する債権を共同して行使し、債務についてはその共有持分にかかわらず連帯して履行するものとする。 

売却・解約の期限

【買い替え特約の文言例】

1.買主は、買主のうち○○氏が所有する○○市○○所在の土地建物(以下「買替物件」という。)の売却代金をもって本物件を購入するものとする。そのため、買主は、平成○年○月○日までに買替物件が金○○万円以上で売却する契約が締結できなかったとき、またその売買代金が平成○年○月○日までに受領できなかったときには、本物件の所有権移転の時期までであればこの契約を解除できるものとする。

上記の条文では、買主が所有する旧居の売却期限として「売却金額の下限」「売却契約の締結日」「売買代金の受領日」が定められています。

これらを満たしたうえで(一定額で一定の日付までに売れなかった場合で)、買主は本物件(新居)の「所有権移転の時期」までであれば解約できるという内容となっています。

買主の解除権行使時における売主の義務の内容

【買い替え特約の文言例】

2.前項によってこの契約が解除された場合、売主は受領済みの金員全額無利息で買主に返還するものとする。

買主が条件と期限を守って新居の売買契約を解約した場合、売主の義務は手付金など買主から受け取った「受領済みの金員」を「全額無利息」で返還することと定められています。

万が一、ここで利息などが定められている場合、売買契約は解除できても買主側が支払うべき費用が発生するおそれもあるので、注意しましょう。

買主の解除権行使時における買主の義務の内容

【買い替え特約の文言例】

3.第2項による解除の場合、第14条(手付解除)および第16条(契約違反による解除)の規定は適用されないものとする。

 4.買主は、本契約に関する債権を共同して行使し、債務についてはその共有持分にかかわらず連帯して履行するものとする。

買主が条件と期限を契約通りに守ったうえで新居の売買契約を解除した場合は「手付解除」及び「契約違反による解除」が適用されないとしています。

これは端的にいうと「買主は契約の解除によりペナルティは受けない」ということが定められている項目です。

  • 手付解除:契約締結後一定期間であれば、買主が支払った手付金を放棄することで、契約を解除できること(民法557条)
  • 契約違反による解除:一般的には契約ごとに違約金が設定され、契約違反側は違約金の支払いが必要となる

よって、買主の旧居が売れなかった場合、買主が買い替え特約を利用して契約を解除したとしても、売主から手付金は返還され、契約違反にもならなければ違約金も発生しないこととなります。

最後に、文言例の4では、買主が複数である場合に、この買い替え特約による権利を共同で行使でき、また債務についても連帯責任となることが定められています。

買い替え特約に応じてもらえなかった場合の2つの対策

不動産会社と専属専任媒介契約や専任媒介契約を締結しても、結果的に買い替え特約の承諾を得られないことはよくあります。
しかし、どうしても購入したい物件がある場合はどうすればよいのでしょうか?

買い替え特約の承諾が得られない場合の対処法

買い先行での住み替えを行う

買い替え特約の承諾を得られなかった際、まずとるべき対策は「売り先行」を諦めて「買い先行」にシフトすることです。

買い替え特約を承諾してもらえていないまま、売り先行で買い替えをしてしまうと、家が売れる前に希望の物件を購入されてしまうかもしれません。

どうしても購入したい物件があるのなら、買い替え特約を諦めて、買い先行に切り替えることも検討しましょう。

つなぎ融資を利用する

つなぎ融資とは、手付金や中間金など、新居の引き渡しまでにかかる購入資金を借り入れられる融資のことです。

通常、住宅ローンが実行されるのは新居の引き渡し時であるため、それまでに旧居の売却が進まなければ、新居購入のための資金が確保できないことが考えられます。

そこで、新居の住宅ローンが実行されるまでの資金が足りない間に「つなぎ融資」で必要な金額を支払えば、無事新居を手にいれることが可能となります。

また、借り入れたつなぎ融資は、住宅ローンの実行後、住宅ローンを利用して全て返済します。

よって、住宅ローンとセットで(住宅ローンの審査が通ることが前提で)利用されることが一般的です。

ただし、つなぎ融資を利用する際は以下の注意点も把握しておきましょう。

  • 金利が高め(通常の住宅ローンは1%前後だが、つなぎ融資は2〜3%前後)
  • 住宅ローン控除が適用されない
  • 住宅ローンと別に審査や手続きのための諸費用がかかる
  • 利用できる金融機関が限られる

つなぎ融資を利用するかどうかの最終的な判断は、信頼できる不動産業者や金融機関と十分に相談して行いましょう。

買取会社に売却する

買い替え特約を承諾してもらえず、どうしても購入したい物件がある場合、今住んでいる家を買取会社に売却するのもひとつの手段です。

買取会社への売却の場合、短期間(約2週間〜1ヶ月)で売却を完了することができます。

仲介と比べて売却価格が低くなりがちというデメリットはありますが、自分のマンションが売れづらいと感じたり、売却活動に時間や手間をかけたくない場合は、買取を検討してみるのも良いでしょう。

住み替え時のリスクを避けたいなら「すむたす売却」

買い替え特約は、気になる物件をノーリスクで抑えることができるため、住み替えを有利に進めることができます。しかし売主側にとっては、売買契約が白紙になるリスクを抱えることになるため、買い替え特約を利用できるケースは決して多くありません。

「気になる物件を先に抑えたいけど、今住んでいる物件がいつ売れるか分からないから不安…」

そんな方にオススメなのが、すむたす売却です。すむたす売却では、マンションを希望のタイミング(最短2日〜)で売却することができます。引渡し日を柔軟に調整できるので、「新居への入居日と元の家の売却日を合わせたい」という方にピッタリのサービスです。

興味のある方は、最短1時間で物件の適性価格が分かるオンライン査定をしてみてはいかがでしょうか?迷惑な営業は一切ないため、「まずはいくらで売れるかだけ知りたい」という方も安心して利用できます。

すむたすならAI査定のみで確実に売れる価格がすぐわかる


一般的な一括査定サイトによる査定は、査定額にかなり幅があり、さらに査定訪問を行わないと実際に売れるマンション価格を把握できないことがあります。

しかし、すむたすなら訪問査定なしのAI査定のみで、最短1時間確実に売れる価格を把握することができます。

「最低でもこの価格で売れる」という保証が得られ、他社と比較する上で基準としても使うことができます。

まずは、確実に売れる価格がわかるすむたすのAI査定を使ってみましょう!

住み替え
シェアする
入力時間1分でマンションの売却価格がわかる
無料のマンション査定はこちら