中古マンションを売却するにあたっては、不動産会社による査定が必要になります。
この記事では、現在中古マンションの売却を検討している方、将来的なライフステージの変化で中古マンションを売却する見込みが高い方に向けて、査定を受ける前に知っておきたい基礎的な情報を紹介しています。
査定時に準備しておきたいものや、最終的に売却活動を任せる不動産会社を選ぶ際のポイントについても幅広く紹介していますので、ぜひお役立てください。
中古マンションを売却するなら査定は必須
マンションをいくらで売るかを最終的に決めるのはマンションオーナーです。しかし、売却価格を決めるには一定の判断材料が必要になります。不動産会社に依頼し、査定価格を算出してもらうことで、相場を考慮した適正な売却価格設定につなげられます。
不動産は基本的に不動産会社に仲介してもらって売却をすることになります。
どの不動産会社に仲介を依頼するかを決定する上では、信頼関係が重要です。査定価格そのものだけでなく、査定への姿勢や、価格への根拠が説明できるかなどを見ることが不動産会社選びの判断材料にもなります。
中古マンションの査定方法その1「机上査定・AI査定」
中古マンションを査定する方法には大きく分けて「机上査定」と「訪問査定」があります。机上査定は立地や築年数などのデータを基に査定価格を算出するもので、訪問査定は不動産会社が物件に訪問し実状を詳しく確認して、正確な査定価格を算出します。
机上査定は手軽さにメリットあり!
机上査定は簡易査定とも呼ばれるもので、物件への訪問なしに査定をしてもらうものです。訪問がないため、詳しい査定はできませんが、目安が知りたい場合には便利です。
訪問なしの机上査定には、不動産会社と直接メールなどでやり取りするものや、データを入力することで複数の会社に見積もり依頼ができる一括査定、データ入力をするとAIがその場で査定価格を提示してくれるAI査定ものがあります。
机上査定には、個人情報の入力を求められず、匿名で査定してもらえるものもあります。
不動産会社からの訪問がないため、気軽に行える点がメリットとして挙げられます。
しかし、あくまで簡易的な査定である点は意識しておきましょう。実際に中古マンションを売却するとなった場合には、訪問査定で詳しく査定してもらう必要があります。机上査定は、将来的な売却のときの目安にしたいときや、不動産会社選びの材料とするために利用するのがおすすめです。
簡単な査定なら一括査定サイトで
査定価格は不動産会社によって異なるため、複数の不動産会社に依頼するのがおすすめです。まずは、複数の会社に一度に査定依頼ができる一括査定サイトを利用するとよいでしょう。
ここでは代表的な3つの一括査定サイトを紹介します。
LIFULL HOME’S(ライフルホームズ)
LIFULL HOME’Sは株式会社LIFULLが運営する不動産住宅サイトです。
大きな特徴は、電話番号や氏名の入力なしで匿名で一括査定依頼ができるところです。一括査定依頼後に不動産会社から提示される査定価格は、LIFULL HOME’S上の自分専用ページで確認し、それを見て気になった不動産会社や詳しく話を聞いてみたい不動産会社に対しては、その段階で初めて直接やり取りする流れになっています。
参考:ライフルホームズ
https://www.homes.co.jp/satei/kani/
すまいValue
すまいValueは小田急不動産、住友不動産販売、東急リバブル、野村不動産ソリューションズ、三井不動産リアルティ、三菱地所ハウスネットの不動産大手6社が共同で運営している一括査定サイトです。
すまいValueならではの特徴としては査定依頼をする相手がこれら大手6社に対してのみである点です。
実績のある大手に査定してもらいたいという場合にはおすすめです。匿名での査定はできず、氏名・電話番号・メールアドレスの入力が必須となっています。机上査定・訪問査定のどちらも同一サイト内で依頼できます。
参考:すまいValue
https://sumai-value.jp/
自分で相場価格を調べるのも重要
多くの方にとって、中古マンションの売却は初めての経験となります。そのため、不動産会社から査定価格を提示されても、高いのか低いのかといった判断は難しいでしょう。売却活動を進める上では、不動産会社との信頼関係の構築が何よりも重要です。
不動産会社だけに頼らず、自身でも相場感覚を養うことで、不動産会社に査定内容に対して正しく理解したり、質問したりできるようになります。
相場感覚を養う上では、「マンションがいくらで売り出されているか」を知るよりも「いくらで売れたか(成約価格)」を知るのが近道です。
成約価格は、国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営・管理している不動産流通標準情報システムの「レインズマーケットインフォメーション」で検索ができます。
自身の不動産と似た条件で検索すれば、大体の相場が把握できます。査定価格ではなく、最終的な売却価格が分かる点は相場感覚を身につけるのに非常に役に立つはずです。
参考:レインズマーケットインフォメーション
http://www.contract.reins.or.jp/search/displayAreaConditionBLogic.do
中古マンションの査定方法その2「訪問査定」
売却をするのなら机上査定だけでは詳しい査定ができず、不十分なため、訪問査定が必須です。不動産会社による訪問査定には費用はかからないので、複数の会社に依頼し、納得できる会社を選ぶようにしてください。
訪問査定では、築年数や間取、物件名などからだけでは分からない、実際のお部屋の状況や経年劣化の具合、周辺環境などを確認します。
すでに売却を検討していて、早く話をすすめたい場合には机上査定ではなく、訪問査定からスタートしても問題はありません。
中古マンションを売るなら不動産会社選びは最重要!
マンションを売却する方法には「不動産仲介」と「不動産買取」の大きく分けて2パターンがあります。不動産買取は、不動産会社に直接マンションを買い取ってもらう方法で、この場合は査定価格がそのまま買取価格となります。
不動産買取は、現金化へのスピードや買い手がつきにくい物件の売却においては優れていますが、そうでない場合は価格が相場よりも下がってしまう特徴があります。
そのため、多くの場合は不動産会社に仲介をしてもらい、一般市場で買い手を探す「不動産仲介」が選ばれています。不動産仲介を行う場合は、不動産会社と媒介契約(仲介契約)を結びます。この際、売却活動を依頼する不動産会社を1社に絞る「専任媒介契約」が一般的です。
複数の不動産会社に同時に売却活動をしてもらう「一般媒介契約」というものもありますが、こちらはそれぞれの不動産会社の売却への意識が弱くなるデメリットがあるため、専任媒介契約が選ばれる傾向にあります。
専任媒介契約をするのなら、不動産会社を1社に絞る必要があります。その際のポイントは「査定価格」だけではありません。不動産仲介の場合、査定価格がそのまま成約価格になるとは限りません。
その理由は、査定価格が高く、その価格で売り出しても、相場以上の価格であれば買い手はつかないからです。逆に査定価格が相場より低い場合では、その金額で売り出すと早く買い手はつくでしょうが、損をしてしまいます。
悪質な不動産会社の場合は、自社と専任媒介契約を結んでもらうために、あえて査定価格を高く提示することがあります。
高い査定価格なら、相場に合わせて時期を見て値下げすればよいと思われるかもしれません。しかし、一度値下げした物件は、「また下がるのではないか」と様子見をされやすく、最終的に相場より低い価格に落ちついてしまうことが少なくありません。
不動産会社選びの際には、「複数の不動産会社に査定依頼をする」「他社より不自然に高い査定価格を出す会社は選ばない」「査定価格の根拠をしっかりと確認する」の3点を意識するようにしてください。
中古マンションの訪問査定前にしておきたい準備
実際に売却をすすめていく上では、まず訪問査定から始まります。訪問査定を受け入れる準備とともに、詳細な査定価格の算出や、購入希望者が見つかったときの情報開示のための準備をしていきましょう。
必ず行いたいのは清掃です。査定前にハウスクリーニングを依頼する必要はありませんが、部屋が散らかっていたり、汚れていたりして本来の物件価値が正しく査定されないのはもったいないことです。汚れが目につきやすい水回りなどは、優先的に清掃するようにしてください。
そして、メモなどでまとめておきたいのが「設備や部屋の不具合」です。たとえばエアコンが故障している、給湯器の調子が悪い、家具で見えないが壁紙がはがれているところがあるなど、実際に住んでいるからこそ知っていることを正確に不動産会社に伝えることも重要になります。
また、以下の書類は訪問査定時に必須ではありませんが、査定価格を正確に算出する際の材料となります。査定時だけでなく将来的な売却においても重要な書類なので、訪問査定時に用意しておくとよいでしょう。
必要書類 | 書類の内容・役割 |
登記事項証明書 | マンションの登記情報が記載されている |
間取り図・パンフレット | 購入検討者にアピールポイントが伝えやすい |
マンション管理規約 | 管理組合があるかのチェックや共用部の使用ルールが分かる |
管理情報書類 | 大規模修繕の履歴や積立金・管理費の総額などが分かる |
物件がどのように管理されているかは、購入検討者側も知りたいことです。たとえば、大規模修繕が終わったばかりであれば、アピールポイントにもできるでしょう。
中古マンション査定時にチェックされるポイント
ここからは、査定時に具体的にどこをチェックされるのかを紹介していきます。査定時に必ず守っていただきたいのは、建物や設備の不具合を隠したり、ウソをついたりしないこと。
不動産を売却する際、引き渡し後の一定期間の間に買い手に対して告知していない新たな不具合が発覚した場合は売主側の責任になります。これを契約不適合責任といいます。
売主が気づいていたかどうかにかかわらず、新たに発覚したものは売主側の責任になりますので、必ず正しい情報を不動産会社に伝えるようにしてください。
築年数
建物の価値は年数とともに減少していきます。築5年以内、築10年以内などと絞って物件探しをしている方も多くいます。
立地
普段の生活をする上での利便性や、交通アクセス、周辺環境、治安など、立地に関わる事項はチェック対象です。
階数
1、2階などの低層階は高層階に比べて価値が低くなりがちです。
共有部分
共有部分に個人の所有物が置かれていないか、エレベーターは設置されているかなどがチェックされます。
耐震性
地震が多い日本では、耐震性は住まい選びの重要なポイントになります。
1981年5月31日以前に建てられた建物は旧耐震基準、1981年6月1日以降に建てられた建物は新耐震基準となり、新耐震基準を満たす建物の方が、価値は高くなります。
修繕積立金・管理費の額
住宅ローンとは別に、毎月の支出となる修繕積立金や管理費が高いと買い手から敬遠されやすくなります。また、修繕積立金の計画が甘いと、大規模修繕前に増額されることが珍しくありません。新築から10年以上経っているのに大規模修繕を行っていない場合などは、価値が低くなる傾向があります。
駐車場の有無・仕様
平置きの駐車場やスロープを自走して駐車できる自走式は、価値が高くなります。一方で、機械で上下に移動させて縦方向に複数の車を駐車する機械式は価値が低くなります。
間取り・専有面積
特徴的なものや奇抜な間取りよりも、3LDKのような多くの家族にマッチする間取りの方が好まれやすいため、価値が高くなります。また、面積も同様に重視されるポイントです。
リフォームの有無
室内の古くなった設備をリフォームした履歴があれば、アピールポイントにできます。特にお風呂やキッチンなどの水回りのリフォームは高く評価されます。
不安な場合は、インスペクションの利用を検討しよう
自分が気づいていない不具合があるかもしれないと不安な場合は、インスペクションと呼ばれる住宅の健康診断を利用するとよいでしょう。
インスペクションは、不動産会社の査定は別のもので、建築士の資格をもつ専門の検査員が、客観的に目視、動作確認、聞き取りなどを行って、住宅の現状の検査を行うことをいいます。住宅の現状がプロの目で判定してもらえるので、引き渡し後のトラブルが予防できます。
まとめ
中古マンションの査定を依頼する際には、不動産会社選びのポイントや、自分でできる相場感覚の養い方を知っておくことで、スムーズな査定や売却活動につなげられます。
不動産売却を検討している方は、まずは簡単に行えるAI査定や机上査定から試してみてはいかがでしょうか。