【この記事で分かること】
- 一括査定サイトを利用する際の注意点
- 匿名査定サイトを利用する際の注意点
- 不動産会社による訪問査定を受けるときの注意点
マンションの査定は2種類ある
マンションを売却する際、最初にすべきことが机上査定を受けることです。
机上査定とは、オンライン上で物件情報を入力することで、物件のおおよその価値を算出できる査定サービスのことです。
簡易査定は大きく分けると「一括査定サイト」と「匿名査定サイト」の2種類があります。匿名査定サイトは、査定にAIを活用している場合が多く、AI査定とも呼ばれています。
ここからは、この2つの査定サービスの仕組みと注意点について解説します。
一括査定サイト
まずは、一括査定サイトについて解説します。
有名なサイトでは、「イエウール」「SUUMO売却査定」「すまいVALUE」などがあります。
一括査定サイトの特徴は、一度の査定を依頼するだけで、複数の不動産会社から見積もりを受け取れるところです。
一括査定サイトの仕組み
一括査定サイトを利用するときは、以下のような流れで進んでいきます。
- ユーザーが個人情報と物件情報を入力し、一括査定サイトに査定依頼を送る。
- 一括査定サイトが、提携している複数の不動産会社にユーザーの情報を渡 し、対価としてに紹介料を受け取る。
- 不動産会社は、受け取った物件情報をもとに「これくらいで売れるだろう」という査定価格を算出し、ユーザーに結果を通知する。
ちなみに一括査定サイトと提携している、不動産会社のほとんどは「仲介会社」と呼ばれる、マンションを「売りたい個人」と「買いたい個人」をマッチングさせることを生業としている会社が占めています。仲介業者は、一括査定サイトと提携することで、効率よく物件の売却希望者と接点を持つことができるのです。
一括査定の注意点
一括査定サイトには以下のような注意点があります。
- 査定価格は「売却予測価格」である
- 意図的に高い価格を提示される可能性がある
- 営業電話が大量にかかる
一点目は、各社が提示する査定価格はあくまで「売却予測価格」であるという点です。仮に最初の査定で満足の行く価格が提示されても、訪問査定や売却活動中に価格が下がってしまうリスクがあります。
二点目は、意図的に高い価格を提示されてしまうリスクがあることです。一括査定サイトでは、複数の不動産会社が1人のユーザーをめぐって競いあう状況が生まれるため、強引に契約を獲得するために、本来は売れないような異様に高い価格を提示すれる場合があります。実際には、相場よりも大幅に高い価格で売れることは難しいので、後で大幅な値下げをすることになるでしょう。
三点目は、営業目的の電話が大量に掛かってくるということです。一括査定サイトでは電話番号の入力が必須であることが多いため、一度査定を行うと売却の意思を確認したり、契約を迫るような内容の電話が大量にかかる点に注意が必要です。
一括査定に向いている人
一括査定サイトは、以下のような人に向いています。
- マンションを売却する意思が強く、近いうちに売却を始めたい
- 複数社の査定結果をじっくりと比較して、契約する不動産会社を決めたい
マンションの売却意思が強い人にとっては、「良い不動産会社を見極めること」が最重要課題です。複数の不動産会社と一度に接点を持てる一括査定は、特に売却活動の初期に利用すべきと言えるでしょう。
匿名査定サイト
次は、匿名査定サイト(AI査定サイト)について解説します。
匿名査定サイトは近年多くの不動産会社が参入しており、大手の不動産会社では、東急リバブル、SRE不動産などがサービスを展開しています。
匿名査定の最大の特徴は、個人情報の入力なしで物件の相場価格を知れるという点です。

匿名査定サイトの仕組み
匿名査定サイトを利用するときは、以下のような流れで進んでいきます。
- ユーザーは匿名査定サイトに物件の情報を入力します(氏名、メールアドレス、電話番号など個人情報の入力は必要ありません)。
- サイト側は、過去に売買された類似物件や同じマンション内の成約情報をもとに、AIなどで自動的に価格を算出し、ユーザーに提示します。
AIを使って査定を自動化しているため、結果が提示されるまでは数秒から数分程度と非常に短時間であることが特徴です。
匿名査定を受ける際の注意点
- 価格の正確性が低い
匿名査定の最大の注意点は、価格の正確性が低いことです。
マンションの適性価格を算出するには、市場動向や近隣の売り出し状況などを知り尽くしたプロの力が必要です。しかし、匿名査定は主に過去の統計から価格を算出するため、どうしても精度が低くなってしまいます。そのため、匿名査定の価格はあまりに真剣に捉えすぎず、「概算程度」と捉えておくのが無難でしょう。
匿名査定に向いている人
匿名査定サイトは、以下のような人に向いています。
- マンションを売却する意思はまだ低い
- とりあえず物件の概算と相場を把握しておきたい
- 不動産会社からの営業を受けたくないと考えている
電話番号やメールアドレスの入力が必要ないため、「価格は知りたいけど、不動産会社から営業電話を受けるのは気が引ける」「いますぐに売却活動を始める気はない」という人には、便利なサービスだと言えます。
売却するなら訪問査定は必須
ここまでは、ユーザーが入力したデータを用いて価格を算出する「机上査定」と呼ばれる査定方法について解説してきました。しかし、実際に売却活動を行うためには、より正確な物件の価値を把握する必要があります。そこで行われるのが訪問査定です。
訪問査定では、不動産会社の担当者が実際に室内を確認し、机上査定の金額を補正して正確な金額を算出します。
訪問査定をしなければ、売り出し価格を決定できないため、マンションを売却する際は必ず必要になるプロセスだと認識しておきましょう。
訪問査定の注意点
不動産会社がマンションの訪問査定でチェックするポイントとは下記のポイントです。
- 査定の項目を把握しておく
- 部屋を綺麗に使っておく
- 査定は2~3社受ける
- 査定結果の根拠を説明してもらう
- 囲い込みをしないか確認する
査定の項目を把握しておく
訪問査定では、主に下記のような項目がチェックされます。物件のスペックが評価対象になっているため、売主が努力をして評価を挙げることは難しいでしょう。しかし、室内が散らかっていたり、物があふれていると、「正確な査定ができない」ということになりかねないため、最低限の掃除だけは済ませておきましょう。
部屋を綺麗に使っておく
訪問査定の直前にきれいに掃除するのも大切ですが、まずは日ごろからきれいな状態を保てるように気をつけておくのがベストです。
とくに水回りのカビや水アカ汚れが樹脂やガラス面に深く定着してしまうと、なかなかきれいに除去できませんので、頑固な汚れになる前にこまめな掃除が肝心です。
また、収納に無理に荷物を押し込めていたり収納しきれずに散乱しているなら、内見や引っ越しに備えて前もって荷物を減らしておくと良いでしょう。
査定は2~3社は受ける
訪問査定は机上査定に比べると手間がかかるので億劫になりがちですが、きちんと2~3社の査定を受けることをおすすめします。
複数社の査定を受けることによって、価格や担当者の対応、今後の戦略などを比較できます。マンションの売却の成否は、不動産会社と担当者選びにかかっていると言っても過言ではありません。そのため、訪問査定で実力のある不動産会社を選べるかどうかが非常に重要なのです。
査定結果の根拠を説明してもらう
査定価格を提示してもらったら、「なぜその査定価格になったのか」という根拠を確認するようにしましょう。
不動産会社の中には、あえて高額な査定価格を提示することで、売主との契約を取り付けようとする企業も存在します。このような不動産会社と契約しても、売却期間中に値下げを強いられることになりやすいため、訪問査定を受けた段階で価格の根拠をしっかりと聞くようにしましょう。
納得できない場合は、他の不動産会社にも訪問査定を依頼し、結果を比較することが重要です。
囲い込みをしないか確認する
不動産会社が、売主の物件情報をオープンにせず、他社からの買主の紹介を断る行為を「囲い込み」と呼びます。この行為の目的は、自社で買主を見つけることで売主と買主の両方から仲介手数料を見つけることです。
囲い込みをされてしまうと、なかなか内覧の予約が入らなくなったり、売却期間が長期化する可能性が高くなります。
囲い込みを防ぐためには、訪問査定の担当者に「あなたの会社は両手仲介にこだわりますか?」「囲い込みをしませんか?」と直接聞くことが有効です。売主が囲い込みに対して警戒心を持っていると伝えることで、不動産会社に抑止力を働かせることができます。