マンションを売るなら、できるだけ「高く早く売りたい」と大半の方が考えます。ところが、この記事で解説する「高預かり」をするような不動産仲介会社に売却を依頼してしまうと、想定以上に時間がかかってしまう場合があります。
【この記事で分かること】
- 高預かりとは何か?
- 高預かりされないための対策
高預かりとは
「高預かり」とは、不動産会社が実際には売れる見込みのない高い査定価格を提示して、売り手と媒介契約を締結することです。
媒介契約について詳しく知りたい方には、以下の記事もオススメです。
高預かりが行われる理由
不動産仲介会社による査定価格は、あくまでも売却予想価格であり、その価格で確実に売れるということではありません。
しかし、マンションの売り手の中には「査定価格が高い会社であれば高く売れるだろう」と期待する方が多くいらっしゃいます。そのため、「高預かり」を行う不動産仲介会社は、たとえ売れる見込みが無くても、他社よりも高い査定価格を提示し、売り手の気を引くことで媒介契約を獲得します。
また、不動産仲介会社は、不動産買取会社とは違い、自社で物件を買い取り在庫を持つわけではありません。そのため相場より高い査定価格を提示しても、ただ「なかなか売れない」という事態になるだけで、大きな損をするリスクがありません。
近年はインターネットによる集客が普及したことで、不動産仲介会社が売り手を獲得する手段が、従来のチラシや店舗来店から、一括査定サイトにシフトしています。一括査定サイトとは、売り手がインターネット上から複数の不動産仲介会社に査定を同時に依頼できるサービスです。
一括査定サイトの利用者に選ばれるためには、他の不動産会社よりも高い査定価格を提示する必要があります。このことが、実際には売れる見込みのない高い査定価格を提示する動機になってしまっています。
一括査定サイトのメリット、デメリットなどについて詳しく知りたい方には、以下の記事がオススメです。
高預かりの問題点
高預かりをする不動産仲介会社に売却を任せてしまうと、売主は以下のようなリスクを抱えることになります。
- なかなか買い手が見つからず、売却期間が長期化してしまう
- 売却活動中に何度も値下げすることになり、想定していた資金計画が崩れる
- 物件が売れ残ってしまい、本来の価値よりも低く売ることになってしまう
このように高預かりは、不動産会社の「契約を取りたい」という都合によって、売主側に必要のないリスクを押し付ける行為です。
高預かりされないための3つの対策
高預かりをされないためには、次の3つの対策が有効です。
- 複数の不動産仲介会社に査定を依頼する
- 極端に査定価格が高い不動産仲介会社は避ける
- 査定価格だけではなく、営業担当者の実力や誠実さもチェックする
複数の不動産仲介会社に査定を依頼する
1社の査定価格を確認するだけでは、それが適正な価格かはわかりません。複数の不動産仲介会社に査定を依頼し、相場を見極めた上で、売却の依頼先を決めましょう。
また、土地総合システムやレインズマーケットインフォメーションなど、過去の不動産売買の価格が公開されているサイトも参考になるでしょう。
極端に査定価格が高い不動産仲介会社は避ける
他社の査定価格と比較して査定価格が極端に高い会社は、高預かりの可能性があるため避けましょう。
不動産仲介会社のよくある営業トークとして、「うちは企業ブランドがあるから」「すでにこの物件を買いたいお客様がいるから」という理由で高く売れることをアピールします。
不動産を買う場合、企業ブランドで買う物件を選ぶわけではなく、その物件自体を評価して選びます。そのため、企業ブランドがあることは高く売れることにほとんど繋がりません。
すでにこの物件を買いたいお客様がいるかどうかについては、本当にそのようなお客様がいるのかをしっかり確認しましょう。
営業担当者の実力や誠実さもチェックする
上記でご説明したように、不動産仲介会社の査定価格はあくまでも目安です。実際に査定価格で売れるかどうかは、営業担当者の実力や誠実さにかかっています。
優秀な担当者を見抜くためには、以下の項目をチェックするようにしましょう。
- 査定価格や販売戦略を根拠をもって説明することができる。
- 長期的な見通しを持っている(この時期までに売れなかったら、これくらい値下げをするという、見通しをもっている)
- 連絡が取りやすく、メールのレスポンスも早い。
- 人当たりが良く、コミュニケーション能力が高い。