マンションの買い替えには税金がかかる
家族構成の変化や転勤などに伴い、今住んでいるマンションから新しいマンションへの「買い替え」が必要になることもあります。
マンションの買い替えでは、「新しいマンション」の購入費用は当然として、「買い替えに伴う税金」まで発生します。
買い替えそのものにかかる費用や引越し費用など、何かと出費の多い時期。
税金を少しでも抑える方法は、ないのでしょうか。
本記事では、マンションの買い替えに伴い発生する税金の種類と、負担を軽くするための「控除」を紹介します。
可能な限り税金を抑え、経済的にも精神的にも、少ない負担で買い替えを済ませましょう。
なお、本記事で紹介する控除は、「買い替えを伴わない売却」でも適用できる可能性があります。
売却を考えている方は、自分に当てはまるかどうか考えながら、お読みください。
マンション買い替えの「売却」にかかる税金
マンション買い替えの「売却」にかかる税金について、見てみましょう。
売却にかかる税金は、売却で利益が「出たか」「出ていないか」で、納める種類が変わります。
まずは、利益が出た・出ないの判断をするために、「譲渡所得」を計算してみましょう。
譲渡所得は、マンション売却によって発生する「利益」のこと。
次の計算式で、譲渡所得を求められます。
計算結果が「プラス」であれば「利益が出た」、「マイナス」であれば「利益は出ていない」と判断できます。
計算結果を基に、「自分の売却したマンションでは、どの税金がかかるのか」を確認しましょう。
【利益が出た場合のみ発生する税金】
- 譲渡所得税
- 住民税
- 復興特別税
【必ず発生する税金】
- 登録免許税
- 収入印紙税
マンション売却で利益が出たときに発生する税金
マンションを買い替える際の「売却」で利益が出た場合、次の3つの税金が発生します。
- 譲渡所得税
- 住民税
- 復興特別税
基本的には、源泉徴収や確定申告で手続きをすることになります。
売却価格にかかわらず発生する税金
マンションを買い替える際の「売却」で、利益が出た・出ないにかかわらず、次の2つの税金は必ず発生します。
- 登録免許税
- 収入印紙税
マンションの登録変更時や、売買契約成立時に納めることになります。
なお、利益が出た場合は合計5種類の税金が、出ていない場合は合計2種類の税金が、それぞれかかります。
マンションの売却時に発生する税金について、より詳しく知りたい方は、こちらの記事もお読みください。
各税金の詳細や計算方法について、お伝えしています。
マンション買い替えの「購入」にかかる税金
マンション買い替えの「購入」にかかる税金は、主に3つです。
【買い替えの購入でかかる税金】
- 登録免許税
- 収入印紙税
- 不動産取得税
登録免許税と収入印紙税は、売却時にもかかる税金でした。
登録免許税は、売主と買主で、次のように折半するのが通例です。
売主:抵当権抹消の登記費用
つまり、売却時に買主に負担してもらった税金を、今度は(購入により買主となった)自分で負担するのです。
収入印紙税の納税義務は、売主と買主で連帯して負うこととなります。
ただし、どちらが負担するか、どの程度の割合で負担するかは話し合いで決めるのが一般的です。
不動産取得税は次の計算式で求められます。
「控除額」が「固定資産税額」よりも大きかった場合、不動産取得税は「0円」です。
どのような控除があるのかは、売却にかかる控除と併せ、以降で解説していきます。税金を節約するために、使える控除がないか注意深く見ていってください。
マンション買い替えにかかる税金を節約する方法
マンションの買い替えには、売却益が出た・出ないにかかわらず、さまざまな税金がかかります。
新しいマンションの購入費用や引越し費用など、何かと出費の多い時期。税金を抑える方法はないのでしょうか。
【買い替えや売却で使える控除】
- 譲渡所得の特別控除
- 10年超所有の軽減税率
- 譲渡損失の損益通算・繰越控除
次からは、マンションの買い替えや売却にかかる税金を抑えられる、3つの控除を紹介します。
自分のマンション買い替えの場合には、どの控除が当てはまるのか、確認しながら読み進めましょう。
【売却益3,000万円を控除】譲渡所得の特別控除
マンションの買い替えにおける「売却」で発生した利益(売却益)から、3,000万円を控除=マイナスできるのが、「譲渡所得の特別控除」です。
いくつかの条件を満たす必要がありますが、そう難しい条件ではありません。
【適用条件】
- 自分が住んでいた住居であること
- 住まなくなった日から3年後の12月31日までに売却していること
- 売却した年から前々年までの間に、同特例もしくは「マイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例」の適用を受けていないこと
参考:No.3302 マイホームを売ったときの特例(国税庁)
買い替えに関する適用条件は、主に3つ。
ほかの条件について気になる方は、参考部分から、国税庁の公式Webサイトを確認できます。
それでは、「売却益2,500万円が出たAさん」の例を見ながら、実際に計算してみましょう。
売却にかかった費用:500万円
売却価格:5,000万円
Aさんの売却益は2,500万円で、譲渡所得の特別控除の適用条件に当てはまっています。
では、控除を受けたAさんは、譲渡所得をどの程度抑えられるのでしょうか。
Aさんの譲渡所得は、「譲渡所得の特別控除」を受けることで「マイナス」となりました。
実際には「売却による2,500万円の利益」を得ていながら、税金を計算するうえでは、「利益が出ていない」ものとして見なされます。
つまり、Aさんには売却益が発生した際にかかる「譲渡所得税」「住民税」「復興特別税」が、発生しません。
【所有期間10年超えの場合】10年超所有の軽減税率
所有期間が10年を超えるマンションには、「10年超所有の軽減税率」が適用されます。
ほかの控除の適用条件にも当てはまっている場合、「10年超所有の軽減税率」は選択適用となりますが、「3,000万円の譲渡所得の特別控除」のみ併用可能です。
「10年超所有の軽減税率」は、譲渡した年の1月1日から遡り、10年を超えて所有していたマンション(住居用の不動産)に適用されます。
「譲渡所得の特別控除」で求めた「課税対象となる売却益」に対して、所有期間に応じた軽減税率が適用される制度です。
なお、10年以下の所有でも、所有期間に応じて税率が変動します。
所有期間ごとの税率は、次の通りです。
所有期間 | 所得税率 | 住民税率 |
---|---|---|
5年以下 | 30.63% | 9% |
5年超 10年以下 | 15.315% | 5% |
10年超(譲渡所得6,000万円以下部分) | 10.21% | 4% |
10年超(譲渡所得6,000万円超部分) | 15.315% | 5% |
※所得税率には「復興特別税」を含んでいます。
「譲渡所得の特別控除」の計算後、「500万円の課税対象となる売却益」が出たBさんで、所有期間ごとの税額を計算してみましょう。
500万円に、それぞれの税率を掛けて計算します。
所有期間 | 所得税 | 住民税 | 合計 |
---|---|---|---|
5年以下 | 153万円 | 45万円 | 198万円 |
5年超 10年以下 | 76万円 | 25万円 | 101万円 |
10年超 | 51万円 | 20万円 | 71万円 |
※小数点以下切り捨て
適用条件は、所有期間の部分を除き、「譲渡所得の特別控除」とそう変わりません。
細かな条件は、国税庁のWebサイトから確認できます。
No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例(国税庁)
【売却損が出る場合】譲渡損失の損益通算・繰越控除
正式名称は「マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」であり、買い替えに伴い「売却損」が出た場合に、売却損分をほかの所得から控除(マイナス)できる制度です。
買い替え時に税金を納めるのではなく、売却損分をほかの所得(給与や副業などで得た収入)から差し引くことで、所得税を抑えられます。
まずは、売却損が出るのはどのような場合か、2パターン見てみましょう。
【5,000万円で購入したマンションを3,000万円で売却したCさん】
売却費用:0円
売却価格:3,000万円
誰がどう見ても、「2,000万円」の売却損が出ています。
しかし、一見すると売却益が出ているようでも、実は売却損が出ている場合もあります。
【3,000万円で購入したマンションを3,300万円で売却したDさん】
売却費用:500万円
売却価格:3,300万円
購入価格と売却価格を見ただけでは「300万円の利益」が出ているように見えますが、売却活動にかかった費用500万円を差し引くと、「200万円の損失」が出ています。
200万円の売却損が出たDさんは、譲渡を行った年の他所得から200万円を控除し、所得税を軽減できます。
【売却損を1年で控除しきれない場合】
年間所得が500万円で、売却損が2,000万円のEさんがいたとしましょう。
Eさんは所得の500万円から売却損2,000万円を控除しても、1,500万円の売却損は残ります。
1年間の所得額を超えた売却損がある場合は、翌年から3年間は、残りの売却損を繰り越して控除し続けられます。
翌年以降も500万円ずつ控除を続けることで、翌年は残り売却損1,000万円、2年目には残り500万円、3年目でちょうど売却損を控除しきれるのです。
なお、3年目に控除しきれない場合、以降の繰越はできません。
マンションが高く売れなかったときに嬉しい控除ですが、ほかの控除とは基本的に併用できません。
ほかにも「500㎡を超える住居には適用できない」という条件もありますが、「マンション」の売却にはあまり関係ないでしょう。
詳しい適用条件は、国税庁のWebサイトから確認できます。
No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(国税庁)
マンションを買い換えたら、確定申告を忘れずに!
マンションを買い替え(売却)した場合、確定申告をしなければなりません。
売却益を得ていながら確定申告をしないことは「脱税行為」であり、確定申告をすることで、各種控除も受けられます。
マンションの売却で必要になるのは、所得税の確定申告です。住民税は、所得税の申告に基づいて課税されるため、特別な申告はいりません。
確定申告を行うタイミングは、「売却した翌年の2月16日~3月15日」の間です。
確定申告の用紙は所轄税務署のほか、国税庁のWebサイトからも入手可能。
申告期間は1ヵ月と短いので、焦ることのないよう、早めに準備を進めましょう。
お近くの税務署を調べたい方はこちら
国税局・税務署を調べる(国税庁)
確定申告書の作成、入手はこちら
所得税の確定申告(国税庁)
【印刷での作成方法】
- ピンク色の「確定申告初頭の作成はこちら」を押す
- 移動先のページで「作成開始」を押す
- 「印刷して提出」を選ぶ
作成方法がわかりづらい場合は、最初のページにある「動画で見る確定申告」を押し、「確定申告書等作成コーナーから申告書を作成して書面提出する方法」を見てみましょう。
マンション買い替えには税金がかかる!まずは査定して目安をつけよう
マンションの買い替えでは、税金が必ず発生します。
売却価格や今住んでいるマンションの所有期間によっては、税金が発生しなかったり、控除を使って税額を抑えたりできます。
税金の種類と発生条件、控除の適用条件と内容を把握し、「どの控除を使うと、最も得をするのか」を見極めましょう。
「マンションの買い替えに伴い、どの程度の税金が発生するのか」
「自分に最適な控除はどれなのか」
の目処をつけるには、マンションの売却査定が必須。
買い替え前に「売却益の目安」をつけ、自分に合った控除を予想することで、確定申告もスムーズに進められます。
新しい物件探しや引越し準備もあり、査定する時間が取れないという方におすすめなのが、Webから最短1時間で査定ができる「すむたす買取」。
PCやスマートフォンから5つの項目を入力するだけで、マンションの買取価格がわかります。
もし査定価格が気に入ったなら、最短2日でそのまま売却することも可能。
売る・売らないはもちろん自由、売却を促す営業電話もかかりません。
査定がまだの方は、参考価格を知るためにも、1度試してみるといいでしょう。
