「マンションの買い替えが必要になったけど、何から手をつけて良いかわからない」
「ただでさえ忙しいのに、買い替えにまで手が回らない」
家族構成や外的要因により、こういった状況でマンションの買い替えが必要になることもあります。
単なる「購入」や「売却」よりも、買い替えのハードルは高いです。普段の生活や仕事をこなしながら、買い替えをスムーズに行うのは、至難の業でしょう。
しかし、焦った気持ちや不十分な知識の中での買い替えには、さまざまなリスクがあります。
本記事では、マンションの買い替えに必要な知識を、簡潔にお伝えします。
各項目には、より詳細に解説している「記事」へのリンクを設置しています。今後の生活に大きな影響を及ぼす「マンションの買い替え」で失敗しないために、マンション買い替え総集編とも言える本記事で知識を深めましょう。
マンションの買い替えのリスク
マンションの買い替えには、さまざまなリスクがあります。
そして、「今住んでいるマンション」を先に売るか・後に売るかによって、どんなリスクがあるのかは変わります。
新しいマンションを先に買って、今住んでいるマンションを後から売ることを「買い先行(後売り)」。
今住んでいるマンションを先に売って、新しいマンションを後から購入することを「売り先行(先売り)」といいます。
まずは、それぞれにどんなリスクがあるのか、確認しましょう。
買い先行(後売り)の買い替えのリスク
後売りは、長期的に影響する「お金のリスク」が多い買い替え方法です。
今住んでいるマンションがいくらで売れるのかは、実際に売れるまではわかりません。
低めに見積もっていても、もっと安く売れることもあるでしょう。
また、新旧2つのマンションのローンが重複する「ダブルローン」のリスクも大きいです。
資金計画を慎重に立てなければならないのに、不確定要素があって計画を立てづらいのが、後売りです。
ダブルローンについて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
売り先行(先売り)の買い替えのリスク
先売りは、金銭的なリスクは低めなものの、「買い替えに失敗するリスク」は大きいです。
マンションを先に売り、「仮住まい」が必要になることで、次のような費用(リスク)が発生します。
- 仮住まいの敷金・礼金、家賃
- 2回分の引越し費用
- 買い替えへの焦りが生まれる
仮住まいをマンションを借りる場合は家賃により、実家を使わせてもらう場合はプレッシャーにより、「新しいマンションに早く引越さなくては!」という焦りが生まれます。
焦りの中で「本当に住みたいマンション」を選ぶのは、難しいでしょう。
それぞれのリスクについて、もっと詳しく知りたい方。先売りと後売り、どちらがリスクを抑えられるかを知りたい方は、こちらの記事もぜひお読みください。
リスクヘッジの方法も紹介しています。
マンション買い替えに利用できる3つのローン
マンションの買い替えでは、以下の3つのローンが利用可能です。
- 住宅ローン
- 買い替えローン
- つなぎ融資
それぞれの特徴やリスクを解説していきます。
住宅ローン
後売りで利用できる方法で、もともと住んでいたマンションのローンとは別に、新しいローンを組むことです。
リスクは、「審査が厳しいこと」と「ダブルローンになること」。
前のローンとは別でローンを組むため、審査が前のものより厳しくなります。もともと住んでいたマンションのローンが残っていれば、二重でローンの返済をしなくてはなりません。
買い替えローン
新旧2つのマンションのローンを、1つにまとめられるローンです。
リスクは、「金利が高いこと」と「新居探しの時間が限られること」。
買い替えローンの金利相場は2%から4%と高いです。また、新居への入居日と、売却するマンションの引き渡し日を同じ日にしなければなりません。新居を早めに見つけておかないと、マンション選びに焦ることになるでしょう。
つなぎ融資
新しいマンションが完成するまでの間に利用できるローンで、新築を購入する場合に利用できます。
リスクは、「金利が高いこと」と「取り扱いが少ないこと」。
つなぎ融資の金利は3%と高く、取り扱っている金融機関も少ないです。
それぞれのローンについてもっと詳しく知りたい方には、こちらの記事も参考になります。
マンションの買い替えにかかる費用
マンションの買い替えでは、通常の「購入」や「売却」以上に、税金と手数料がかかることも。
同時に、節税対策にもさまざまなものがあります。
買い替えにかかる費用を抑えるために、「税金」「手数料」「節税対策」を、しっかり把握しておきましょう。
マンション買い替えにかかる税金
マンションの買い替えに伴い、「売却」と「購入」、それぞれに税金がかかります。
税金がかかるということは、経済的な負担が増すということ。つまり、リスクです。
マンションの売却にかかる税金
売却で利益が出た・出ないで、納める税金が変わります。
利益は、「譲渡所得」を計算することでわかります。
次の計算式で、譲渡所得を計算してみましょう。
利益が出た場合のみ発生する税金は「譲渡所得税」「住民税」「復興特別税」の3種類。必ず発生する税金は「登録免許税」「収入印紙税」の2種類です。
つまり、売却により最大5種類、最小2種類の税金を納めることとなります。
マンションの購入にかかる税金
マンション買い替えの「購入」にかかる税金は、主に3種類。「登録免許税」「収入印紙税」「不動産取得税」です。
登録免許税と収入印紙税は、売却時にもかかる税金でした。
登録免許税は、売主と買主で折半するのが通例であり、購入時は「買主側」を納めることになります。
収入印紙税の納税義務は、売主と買主で連帯して負うため、購入時にもほぼ確実に発生します。
不動産取得税は次の計算式で求められます。
「控除額」が「固定資産税額」よりも大きかった場合、不動産取得税は「0円」です。
それぞれの税金の詳細について知りたい方は、こちらの記事も参考になります。
節税に役立つ「3種類の控除」についても、わかりやすく解説しているので、ぜひお読みください。
マンションの買い替えにかかる手数料
次に、売却にかかる「手数料」について見てみましょう。
マンションを仲介で売却した場合は、税金だけでなく、仲介手数料が発生します。
仲介手数料には、「宅地建物取引業法 第46条」で定められた上限があります。
【仲介手数料の上限の計算方法】
売買価格 | 仲介手数料の上限 |
---|---|
200万円以下 | 売買価格×5%+消費税 |
200万円超かつ400万円以下 | 売買価格×4%+2万円+消費税 |
400万円超 | 売買価格×3%+6万円+消費税 |
下限の規定はないため、手数料が安い分には問題ありません。
ただし、手数料の安さを売りにした業者には、粗悪なサービスを提供するものもあります。サービスの質と手数料の安さを見て、バランスの取れた業者を選ぶことが重要です。
マンションの買い替えをスムーズに済ませる、3つのコツ
マンションの買い替えを成功に導くには、今住んでいるマンションを、少しでも早く・高く売る必要があります。
買い替えにおける「売却のコツ」を、3つ紹介します。
売却を成功させ、買い替え資金を増やそう!
今住んでいるマンションを少しでも高く売ることで、買い替えのリスクを抑えられます。
マンションが高く売れれば、買い替え資金も増えます。資金が増えることは、金銭的なリスクへの「直接的なリスクヘッジ」です。
マンションを高く売るには、査定が重要。次の「5つのステップ」に沿って、高額売却を目指しましょう。
1.査定依頼
不動産会社は、無料で査定を行っています。
なるべく多くの業者に、査定を依頼しましょう。
2.日時調整
より詳細な査定である「現地調査(詳細査定)」の日時を決めましょう。
3.現地調査
現地調査に立ち会い、業者ごとの「査定ポイント」を確認しましょう。
査定のポイントを覚えれば、適当な査定をする業者も見抜けるようになります。
4.書類の確認・提出
必要書類を確認し、提出しましょう。
5.査定報告
査定報告は隅々までチェックしましょう。
「金額」「査定価格の根拠」「他社との比較」が重要です。
なお、不動産会社以外にも、次のような査定方法があります。
データを使った「シミュレーターによる査定」
Webから手軽に使える「一括査定サイト」
それぞれのステップや査定方法の詳細、具体的な必要書類が知りたい方は、こちらの記事もお役立てください。
買い替えと売却活動を同時に成功させる、9つの秘訣
マンション買い替えにおける「売却」で利用するであろう、「仲介業者」と「買取業者」。
仲介業者は売却価格が高額になりやすい反面、売却期間は長くなる傾向にあります。
買取業者ならすぐに売却できるものの、売却価格は低くなりがちです。
買い替えのリスクを抑えるためには、少しでも早く、高くマンションを売りたいもの。
より難易度の高い「仲介業者」での売却を成功させるためには、購入希望者にマンションを見てもらう「内見」が重要です。
内見には、好印象を与える「6つの鉄則」があります。
- マンションがきれいに見える時間帯を把握する
- 室内を快適な環境にしておく
- 明るく笑顔で対応する
- 答えづらいことにも正直に答える
- 安易な口約束はしない
- 内見者の視界に入らない
ちなみに、「内見は空室状態で行うもの」をいうイメージを持つ方は多いでしょう。
しかし、内見はマンションに住みながらでも行えます。
マンションに住みながら内見対応を行うことで、時間の融通も利きやすくなるでしょう。家具やインテリアが置かれていることで、マンションがよりきれいに見え、高額売却に結びつくこともあります。
マンションに住みながら内見対応をすれば、仮住まいも必要ありません。
次の3つのコツを抑えて、高額売却を目指しましょう。
- マンションを普段からきれいにしておく
- 見た目だけでなく臭いにも気をつける
- 遠慮せず見てほしいと伝える
「6つの鉄則」や「マンションに住みながら内見対応をするときの、3つのコツ」、各項目の詳細は、こちらの記事で解説しています。
マンションを空室状態にしてから内見対応をする方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
買取業者を上手に使って、スムーズな買い替えを!
最後に、買い替えにおける売却で「買取業者」を利用する場合の、相場の調べ方を解説します。
買取業者には、「少ない時間と労力でマンションを売却できる」というメリットがあります。
上手に利用すれば、買い替えのリスクを抑えられます。
買取には、相場の低いマンションが買取に向いています。
具体的には、次のようなマンションが「買取向き」です。
- 状態が悪い
- 築年数が古い
- 事故物件
簡単にいえば、「誰も住みたがらないようなマンション」が、買取向きのマンションです。
リフォームやリノベーションを前提とした買取業者なら、「誰も住みたがらないようなマンション」を、「魅力的なマンション」に生まれ変わらせてくれます。
ちなみに、買取業者は次のようなポイントを見て、買取価格を決めています。
- マンションの築年数
- 部屋の日当たり
- マンションの間取り
- マンションの周辺環境
具体的な「買取相場」を調べる方法も、確認しておきましょう。
おすすめなのは「土地総合システム」と「一括査定サイト」を利用して相場を調べる方法です。
「土地総合システム」は、国土交通省の提供する「全国の不動産売買データ」を調べられるデータベース。
「一括査定サイト」は、複数の業者に、まとめて査定依頼を出せるWebサービスです。
それぞれを使いこなし、「今住んでいるマンションがいくらくらいで売れそうか」、イメージをはっきりさせていきましょう。
「買取向きのマンションの特徴」や「買取業者の見るポイント」の各項目について、詳細はこちらの記事でお伝えしています。
「土地総合システム」と「一括査定サイト」の上手な使い方についても解説しているので、参考にしながら、買い替えのリスクを抑えましょう。
マンション買い替えの進捗に合わせて、記事内容を振り返ろう
本記事では、マンションの買い替えを成功させるための、たくさんのコツをお伝えしました。
最後にもう1度、おさらいしましょう。
- 買い替えにはリスクがある
- 買い替えにおけるローン選びは重要
- 買い替えには税金や手数料がかかる
- 売却の成功は買い換えの成功に直結する
マンションの買い換えを成功させるには、買い換えのリスクを理解し、十分な対策を取ることが不可欠です。
とはいえ、一つひとつの内容は難しく、膨大な情報量に混乱してしまう方も多いでしょう。
「面倒な買い替えを早く済ませたい!」
「でも、失敗が怖くて行動を起こせない…」
と考えている方にとって、本記事はいわば「索引」です。
「先売りなのか後売りなのか」「買い換えはどこまで進んでいるのか」に応じて、必要な部分を読み返してください。
要所で紹介したリンク先の記事も参考になります。
ローンや税金などの難しい話もわかりやすく解説し、売却を成功させるコツも詳細にお伝えしています。
状況に合わせて各記事を確認すれば、買い換えが成功する確率も高くなるでしょう。
本記事や「Sumutasu MAGAZINE」を活用し、マンション買い換えを成功に導いてください。