マンションを早く売るために知りたい業者のこと
マンションの売却では、仲介業者と買取業者のどちらかに売却を依頼します。
マンションの売却を依頼する2種類の不動産業者はこちらです。
- 高く売れるが時間のかかる仲介業者
- 早く売れるが価格は低めな買取業者
それぞれの不動産業者の特徴について、これから詳しく見ていきましょう。
高く売れるが時間のかかる仲介業者
売却価格は高値を目指せるものの、売却までの時間や手間がかかりやすいのが仲介業者です。
仲介業者とは、マンションを買いたい人と売りたい人をつなぐ業者のことで、売却相手は個人買主です。売主の希望する価格で購入してくれる方が現れるかどうかは、物件の条件や不動産会社の実力、運など複合的な要因が絡み合います。そのため、時間をかければ高値の売却を実現できる可能性はありますが、同時に売却活動が長期化し値下がりするリスクを抱えることになります。
仲介での売却期間は平均して3~6ヶ月ほどかかるといわれています。どの手順にどれだけの期間がかかるのか、チェックしておきましょう。
仲介での売却手順と期間
売却手順 | 必要な期間 | |
売却開始 | 売却査定の訪問 〜 査定報告 | 1週間 |
査定報告 〜 媒介契約(業者の選定) | 1週間 | |
売却中 | 売却活動(内見・条件交渉の対応) | 2〜6か月 |
購入申込 〜 売買契約 | 1週間 | |
売却終了 | 売買契約 〜 マンションの引渡し | 1か月 |
早く売れるが価格は低めな買取業者
確実に早期売却できるものの、仲介と比べて価格が低くなりやすいのが買取です。
買取業者を利用すれば、数日から数週間程度でマンションを売却することが可能です。これほど早いのは、買い手を見つけるための広報活動・内見・価格交渉などの手間が必要なく、業者との契約さえ済ませればほとんどの売却活動が完了するからです。また、マンションの引渡し時期は売主の都合に合わせて調整もできます。
しかし、買取価格は仲介での売却価格の6~7割といわれます。買取業者にとってマンションの買取は「仕入れ」にあたり、リフォーム費用やその他の経費をかけて再販売しても利益が出るように計算して買取価格を決めるためです。
「仲介」と「買取」のメリット・デメリットについては、こちらの記事でもご紹介しております。
マンション売却にかかる期間は長くて3~6ヵ月
マンションの売却期間は長ければ6か月以上かかるケースもあります。売却期間が長期化する要因としては、中古マンションの供給量(ライバル物件)が多いことや、新築マンション価格の上昇に引っ張られた中古マンション価格上昇などが影響しています。
マンション売却は、実際の売却活動以外にもその前後で必要な手続きがあるため、思った以上に時間がかかるものです。たとえば、売却査定を複数社へ依頼すれば複数社の査定内見と査定報告の対応があり、売却を複数社へ依頼するならおのおのの不動産会社と媒介契約締結が必要になるからです。
また、売買契約後の住宅ローン本申込みから本審査の結果までに2週間ほど、その後の金銭消費貸借契約(読み:きんせんしょうひたいしゃくけいやく:住宅ローンを借りる契約)から融資の実行(決済・引渡し)までに2週間ほどかかります。
つまり、広告の開始から購入の申込みまでの純粋な売却活動期間が1か月だったとしても、売却活動前後の手続きで2か月ほど要するためトータル期間は3か月になります。
場合によって純粋な売却期間が3か月以上かかることもあるため、トータル期間が6か月以上というのは決して珍しくはないのです。
仲介業者でマンションを早く売却する方法
仲介による売却は高値が付きやすい反面、売却までの時間は長めになる傾向にあります。
しかし、ちょっとした工夫で売却期間を短くできるかもしれません。ここからは、仲介でもなるべく早くマンションを売るための方法をお伝えします。
- 優秀な不動産業者と契約を結ぶ
- 専属媒介契約を結ぶ
- 売出価格を高く設定しない
- 内覧対応に力を入れる
それぞれの方法について、詳しく見ていきましょう。
優秀な不動産業者と契約を結ぶ
仲介でマンションをなるべく早く売却したいのであれば優秀な不動産業者と媒介契約を結びましょう。しかし「どこの不動産会社が優秀なのかわからない!」と思う方は少なくありません。自分に適した不動産会社を見極めるために、まずは一括査定サイトを利用して複数社の査定結果と対応を比較します。
不動産取引では「宅地建物取引業法」のほかにも「民法」「建築基準法」「自治体条例」や「税法」「不動産登記法」などの横断的で最新の知識が必要です。大手不動産会社なら、担当者の基礎力をつける教育制度や作成する書類の内容が適法かをチェックをする部署がありますので任せる会社としての信頼感はあります。
しかし、不動産取引全般にもっとも大きく影響するのは売却を任せる担当者の能力や倫理観であり、この点は不動産会社の知名度とはまったく比例しないのです。
一括査定の依頼をしたあとで接触してくる担当者の対応を見れば、その担当者が善悪の倫理観を備えているかどうか判断できます。以下のような言動や特徴があれば、少なくとも利己的で倫理観に欠ける担当者ではないといえるでしょう。
- 営業の電話やメールでしつこく媒介契約を迫ってこない
- 見解や提案は事実と根拠に基づいていて説明が分かりやすい
- 売主の希望をよく聞いたうえで販売戦略を立ててくれる
- 囲い込みのような違反行為をしないと自ら宣言してくれる
依頼する不動産会社についてもっと知りたい方はこちらの記事もぜひ参考にしてみてください。
専属媒介契約を結ぶ
不動産会社に売却を依頼するには必ず「媒介契約」を締結します。媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3つがあります。それぞれの違いは次の通りです。
項目 | 一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 |
---|---|---|---|
他社との契約 | 可 | 不可 | 不可 |
レインズへの登録義務 | なし | あり(契約日から7営業日以内) | あり(契約日から5営業日以内) |
売却活動の報告義務 | なし | あり(14日に1回以上) | あり(7日に1回以上) |
契約期間 | 3ヶ月が一般的(法律による規定はなし) | 最長3ヶ月 | 最長3ヶ月 |
契約の自動更新 | 特約で規定される場合あり | なし | なし |
自己発見取引の可否 | 可 | 可 |
媒介契約の種類によっては、売却活動の優先順位が低くなったり掛ける広告費が少なくなったりすることがあります。
不動産会社の報酬形態は、仲介によって売買契約を成立させた会社のみが報酬を得られます。つまり複数社が費用をかけて売却活動を頑張っていても成約させた1社だけが儲かる仕組みです。
そのため、同時に複数社との契約をする一般媒介契約は、他社で成約されることを想定して売却活動にあまり力を入れない可能性があります。対して、専属媒介契約や専属専任媒介契約は成約すれば必ず仲介手数料報酬が得られるため、広告費と労力を大きく投入してでも売却活動に専念したいという意識が働きます。
売出価格を高く設定しない
マンションを早く売却したいなら、売り出し価格は相場よりも遥かに高い設定にはせず、最大で5%ほどの値下げ交渉幅を見込んだ価格にとどめておきましょう。
一般的に、不動産の売却でもっとも買主からの問合せが多いのは売り出し直後から1か月以内です。少しでも高く売れる可能性に賭けたい気持ちは分かりますが、その貴重な時期に高すぎる価格設定のために興味を持ってもらえなければ、結果的に売却期間が長期化して値下げのリスクを招きます。
ですから最初はチャレンジ価格として高値で売り出し、1か月経過しても問い合わせ数や内見数が伸びなければ値下げが必要かもしれないという判断ができます。しかし、初出しの勢いある時期に売り切りたい場合は、売出価格は最大でも相場価格プラス5%程度に抑えると良いでしょう。
内覧対応に力を入れる
仲介での売却は、内見での印象が成約率を大きく左右するといっても過言ではありません。購入希望者に物件を直接アピールする唯一のチャンスを念入りな準備で迎えましょう。
事前の準備としては、とにかく部屋をきれいに掃除しておくことです。とくに玄関・水回り・サッシのレール・バルコニーなどは、目につきやすく不衛生に感じやすいので重点的にきれいにすべきです。
内見はおもに不動産会社の担当者が対応するため、売主が前面に出て説明や案内をすることはありません。しかし、内見者から質問があれば住んでいる人にしか分からない魅力を添えて効果的に伝えるようにしましょう。
内覧対応のコツを知りたい方は、こちらの記事も合わせてご覧ください。
買取業者でマンションを早く売却する方法
買取業者にマンションを売却する場合も複数の買取業者の査定を受けます。そのなかから買取価格や契約条件がもっとも良い業者を選べば、早い場合ですと数日後には売買契約・売買代金の支払い・マンションの引き渡しまで終えられます。
また、買取なら仲介のような長い売却期間はなく買主の住宅ローンが通らないようなリスクもありません。買取査定の内見を数回するだけで、周囲が売却に気づかないうちに数日後には現金化が終わっているようなスピード感です。
買取でも査定は複数社に依頼する
買取業者の査定額は各社同じではありません。買取業者が得意とするエリアや物件の種類によって、またそのときに抱えている物件量によっても変動するため、必ず複数社の査定を受けましょう。
買取査定を受ける前には、インターネットなどから類似物件の価格を自分で調べておおよその相場の把握をしておくことが大切です。買取価格は仲介による売却価格の6〜7割と言われていますが、相場観の乏しい査定担当者にあたると価格に自信がないために安い査定額を提示してくる場合があるからです。
また、査定価格とあわせて注意すべきなのが契約条件です。ほとんどの費用を買取業者が負担する場合もあれば、残置物の処分や管理組合からの書類取得として別途費用を請求される場合もあるため、見積もりに含まれる不明な費用は買取業者へ確認しましょう。
なかなか売れないマンションを、少しでも早く売るには?
売却活動に進展がない場合にはそのまま待っていても状況は良くなりません。状況を打破するためには、売れない原因を探って積極的に改善すべきです。原因および改善策はおもに下記のポイントです。
- 3ヵ月経っても売れなければ、値下げも検討する
- 買取に切り替える
- 媒介契約を見直す
- 不動産会社や担当者を見直す
- ハウスクリーニングをする
それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
3ヵ月経っても売れなければ、値下げも検討する
問合せ数が少なく具体的な質問もなく3ヶ月が過ぎるようなら、値下げの必要性がかなり高いといえます。
売れる物件は、問合せの数や内見予約の数が売れない物件とは明らかに違います。物件の反響数と売れる確率は比例し、売主の売却理由や引渡し目安時期や価格交渉ができるのかなど、より具体的な質問が寄せられているはずです。
買主も不動産会社も、マンションを評価する場合にはいくつかのマンションの条件を比較して優劣をつけています。反響がなく売れないということはライバル物件に負けていると考えるべきであり、その際に効果が高い条件改善方法が値下げなのです。
買取に切り替える
仲介で売れない場合には下記のようなことが起こっています。売れずに時間だけが経過するくらいなら買取への切り替えを検討しましょう。
- 売れない物件というイメージが根付いてしまう
- 様子を見ながら徐々に値下げをするも売れない
- マンション価値は時間とともに目減りしていく
- 安価な成約事例が出るとその額以上で売れない
- ついには激安価格にしても売れない時期が来る
売れなければ次の住まいの計画が立てられず、徐々に価値は下がりますがローンの支払いは続き、その間のストレスも大きくなります。
買取なら、そこからさらに価格は下がりますがデメリットばかりではありません。数日後には売却活動を終えられますので、将来の値下がりやストレスはなくなって具体的な住み替え先を検討できるようになるからです。
媒介契約を見直す
マンションが売れない原因に媒介契約が適切でない場合があります。媒介契約は1社を専任窓口とするか複数社を窓口にするかで売却業務の優先順位や広告の規模に影響が出るからです。
一般媒介契約で売れない場合には、値下げをして売れる条件に変えれば不動産会社同士が競い合って売却活動が活発になります。また、一般媒介契約から専属専任媒介契約に変更すれば担当者はそのマンションを優先的に売ろうと時間を割くでしょう。
一方で専属専任媒介契約で売れない場合に、一般媒介契約に変更すれば囲い込みが起こらず不動産会社同士が競争しあう環境に変えることもできます。
不動産会社や担当者を見直す
媒介契約は変えずに同じ会社内のまま担当者だけ変更する、もしくは今の媒介契約を合意解除して新しい不動産会社と媒介契約を締結すれば状況は変化します。
不動産会社でも担当者でも、パートナーを変えれば得意不得意の偏りや相性問題が解消されるので、こうするだけでも状況の改善が期待できます。
ハウスクリーニングをする
マンションの見た目が「きれい、買いたい」と思われていないなら売れるはずはありません。高いお金に見合うだけの商品価値を演出するのにもっとも効果的なのはきれいにすることです。
とくに、水回りの水垢やカビ・サッシレールのホコリ・ガラス窓の指紋やくもり汚れが目につくと、そのマンション全部が雑に扱われてきたように感じて興味がなくなります。
清掃は自分でもできますが、ノウハウをもったプロがおこなうハウスクリーニングの仕上がりは別格です。ハウスクリーニングは売却価格を上げるのではなく成約率を上げるために利用します。
ハウスクリーニングについて詳しく知りたい方には、以下の記事がオススメです。
マンション売却の流れは?
マンション売却の流れは以下のようにいくつもの段階があります。しかし、ほとんどは不動産会社が代行するか買主をサポートしながらおこないますので、とくに難しいものはありません。
マンション売却の流れについて詳しく知りたい方には、以下の記事がオススメです。
購入後すぐにマンションを売るのはありなのか?
新品の価格は誰も使ったことがない初めての所有者になれるという価値を含んだプレミアム価格です。マンションも同様で新築と中古では下記のように大きな価値の変化があります。
- マンションは購入した時点で「中古マンション」となる
- 築年数が増えるほど価格も下がる
この2つについて、このあとで見ていきましょう。
マンションは購入した時点で「中古マンション」となる
不動産用語で「新築物件」とは、完成から1年以内かつ人が住んだことのない建物をいいます。反対に一度でも誰かが住んだ建物は「中古物件」、完成から人が住んだことなく1年が経過した建物は「築後未入居物件」と呼び、新築とは名乗れません。
新築マンションを購入して入居した瞬間に中古物件になるものの、新築が中古になると必然的に価格が下がるとは限りません。なかには中古が新築時よりも高額で取引されるケースもあり、デベロッパーのマンション建築計画時の試算に誤りがあり、その基本データで新築価格の設定まで誤った結果がこの議論を難しくしているのです。
築後5年以内のマンション価格は10〜30%下がるとのさまざまな見方がありますが、マンションごとに事情が異なるため下落割合を確定するのは難しいでしょう。ただし、新築に魅力を感じる方が一定数いるため中古になって価格が下がる傾向はやはり否めません。
築年数が増えるほど価格も下がる
築年数はマンション価格を決める大きな要素であり、築年数が経過するにつれ価格は下がっていきます。
出典元:東日本不動産流通機構築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2020年)
新築時よりも価格が上がるのは、不動産相場が全体的に上がったとか、建築後にその場所の利便性が上がったとか、新築時に購入できず中古が出るのをたくさんの方が待っていたとか、特殊な事情があるからこそです。
購入後すぐにマンションを売るなら、仲介と買取を賢く使おう
購入後すぐに売却する場合には、購入時から価格の下落は少ないはずなので、仲介で高額売却をねらっても良いでしょう。
また、築浅でマンション価格の下落がまだゆるやかな場合、もしくは中古価格が新築価格よりも上がっている場合には強気の買取価格が出ることもありますので、同時に買取の選択肢も持っておきましょう。
査定は両方に依頼する
仲介と買取では、査定価格の意味が違います。
仲介の査定価格とは、このマンションなら、媒介期間の3か月以内にこのくらいで売れるだろうという目安価格です。しかし売出価格で本当に売れるかどうかは市場に出さないと分かりません。また、買主からの値下げ交渉が査定金額よりも安くてもを売主が承諾して売却することもあります。
一方で、買取の査定価格とは買取価格です。売主が査定価格に納得すればすぐにマンションを現金化できます。
仲介で売却するにしても、買取価格よりも安い値下げ交渉は受けないというボトム金額の基準にできるため、同時に買取査定も受けておくべきでしょう。
早さと高さを両立したいなら、同時進行で
マンションの売却で早さと高さを両立したいなら、仲介と買取は同時進行すべきです。
早く売ることにこだわるなら買取業者だけ、高く売ることにこだわるなら仲介業者だけ、集中して探すのもいいでしょう。しかし、仲介と買取のどちらも選択できたほうが、その瞬間にメリットが大きい最良の方法を選択できます。
はじめは高額をねらって仲介だけで売却を進めるにしても、買取保証をつけながら仲介で売却することをおすすめします。そうすれば、仮に仲介で売れなくても買取で売却ができるという安心感があるからです。
とくに、マンションの買い替えで購入したい物件が先に見つかり、必ずある時期までに売却しなければならない場合などは、買取保証があると助かります。
スピード重視なら買取一本
買取は、価格以外で譲れない条件が強い下記のような場合によく利用されます。
- 離婚の財産分与のために急いで現金化したい
- ローンの支払ができなくなり早急に売りたい
- 売却していることをご近所に知られたくない
- そのほかの事情で価格よりスピードを重視する
このような要望が強いなら買取一本で売却すると良いでしょう。
ただし、買取査定は必ず複数社に依頼して買取条件がもっとも良い1社を選びましょう。というのも、買取は仲介のときのように担当者と二人三脚で長期間協力するのではなく一瞬で終わります。担当者の当たり外れが取引に与える影響が少ないので、査定金額に不審な名目の費用がなければ、買取価格だけで買取業者を決めてしまっても良いのです。
早さと高さを両立したいなら、すむたす
本記事ではマンションを早く売るコツや業者ごとの事情を解説してきましたがいかがでしたでしょうか。相場並みの価格で売却したいならまずは仲介を検討しましょう。もしもスピード感を持ってマンションを売却するなら買取がおすすめです。
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